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―――




「お父さんと、お母さんを殺したのは誰ですか…?」




五条「見えてたろ、呪霊だよ。そん中でも特別に強いヤツ。特級呪霊」



「なんで…?」



五条「こーゆー金持ちが住むような高層マンションは呪いが生まれやすい。お前んちの隣の家の奴らも全員死んだ」



「呪いって、そんなの…!」



五条「信じられない、って言いたいか?その前にお前の身に起きたことが事実なんだよ。……受け入れることは難しいかもしれないけど、な」






見たところまだ小学生くらい、か?



裕福な家庭に育って、何不自由ない生活をして、愛され――
突如最愛の両親が死ぬ。



受け入れられるはずがない。




でも、こんな呪力を持ちながら一般人に紛れて生活させるのは難しい。





五条「一応聞いとくけど、頼れる親戚は?」




「……」




俺がこんな誘拐のようなマネをするのもいかがなものか、と一旦冷静になって彼女に問う。




両親共に高学歴でいいとこに勤めてたんだろうし、もしその両親の親兄弟がいればそいつらだって同じような暮らしをしてるだろう。




保護者は親戚に――、んで、呪力のコントロールを教えるのは俺がたまにこいつのとこに通ってやればいいか。




大体、俺未成年だし。





しかしAは目を逸らし、「いません」とだけ言った。





五条「…親戚はいるけど頼りたくありません、ってこと?」




「そう、…です」




五条「ふーん…」





詳しくは聞かないが、小学生なのに親戚から何らかの闇を感じとったということなんだろうか。





五条「あのさ」





今更だけど気づいた。



俺、両親死んだばっかのこいつに配慮もなにもしてなかったな、と。



傑にまた説教を食らいそうだ。





「…?」





五条「お前、どうしたい?」





渋谷のTSUTAYAの前で、ふと立ち止まって問うた。




こいつの呪力はハンパじゃない。

鍛えれば相当なモノになる。


そして理由を言語化することはできないけど、俺個人がこいつを育てたいと思った。





――でもそれは、すべて俺のエゴなのかもしれない。





危険な目に合ってもいいから、一般人に紛れて暮らしたいのかもしれない。





生まれながらに"五条家の坊"として育った俺には分からない感覚だからこそ、聞かなければと思った。





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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時

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