うちの弟が大変お世話になっております【名探偵コナン】

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『ふー…』


三人と別れ、ウェイターからワインを受け取り外の空気に触れたくて、バルコニーへと足を向けた



室内の喧騒が嘘のように、庭は月に照らされ静まり返っている



グラスにそっと口を付ける
喉を通る甘い熱が心地良い






今日もいつも通り良い演奏が出来た…



「今日も素晴らしい演奏でしたね」





後ろから不意に声をかけられた

　



『っげ』





安「あからさまに嫌そうにされると傷付きますね、Aさん？」

『今日はもう来ないと思ってましたよ？

安室さん』

安「先程はすみませんでした。
エスコートする約束を果たせなくて」
　
『謝ってほしいのはそっちじゃありませんけどね』

安「あまりの美しさについ」

『ついじゃありませんよ。
どうして私に付きまとうんですか？』




聞いて、白状するとは思えないけど、一応は聞いておかないと。


ビリビリとここだけ空気が張り裂けそうなほど鋭い。

襲われたらどうする？
あいにくバルコニーのここは逃げ場はない。

飛び降りるか？
いやいや、園子ちゃんたちに迷惑がかかる。

自分から聞いたものの無計画と馬鹿さ加減に今更ながら嫌気がさす。





安「好きになった…


　
では、いけませんか？」


『ついこの間知り合ったばかりですよ私達』

安「一目惚れした、は信じて頂けないのでしょうね」

『まさか安室さんの口からそんな乙女チックな言葉が聞けるとは思ってもいませんでしたよ』

安「この間から気にはなっていましたが、あなたは自分の容姿にコンプレックスをおもちなんですか？」

『なんですか？急に
人間コンプレックスの一つや二つあるでしょう？』

安「いえ、自信を持って良いと思いますよ。会場に貴方を狙う輩が多いようですし」

『容姿だけが好みなら、他を当たってほしいですね。
一目惚れなんて、一刻の気の迷いです』

安「彼らも報われませんねぇ……


念のために言っておきますけど、
僕のはあんな陳腐なものとは違いますよ」




安「貴方のバイオリンの音色に心奪われた者です」





『尚更意味がわかりませんね』




安「貴方が無名時代にソロで弾いたAve Maria その公演を聞いていました。
　
友人を亡くしたばかりの僕は、貴方の演奏に救われて…

その後も貴方の公演には足を運んで熱心なファンの一人です」


『それは…ありがとうございます』




ずっと意地悪く話してたのに

急にそんな話ふられても



喫茶店の店員に
毛利探偵の弟子に
黒の組織メンバーのバーボン



いったい、どれが貴方の本当の顔で

どれを信じれば良いのよ






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