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「Aさん、手を。」
「あ、ありがとうございます...」
少し戸惑ったが手を取り、とん、と船に乗る。
なんとなく沖矢さんが立っていた舳先を見た。本当に良く立ってられたよね...体幹すごいな。
ふと、歩美ちゃん達が私と沖矢さんを交互に見ている。キラキラとした目で。
「昴のお兄さんとAお姉さん、王子様とお姫様みたいだった!」
「はい!夕焼けの空と太陽の光が上手く演出されて、とてもロマンチックでしたよ!」
「なんかよくわかんねぇけど、すごかったぜ!」
そんなことを言われて少し固まったけど、素直に嬉しく感じた。子供は純粋だから、これは本音なんだと分かる。
ありがとうございます。と返せば、少し照れながらも笑って返してくれる。なんて平和な世界なんだ。
船のロープをボラードから外し、船着場から離れていく。
「そういえば、用事ってこの子達の面倒見の事だったんですね。」
「...ごめんなさい。黙ってるつもりは無かったんですけど」
そう。沖矢さんには子供達と海釣りへ行くとは言っていなかった。別に伝えなくてもいいかなと思って用事という言い方をしたのだ。
だから私は船着場までタクシーで行き、博士から子供達を預かり一緒に釣りを楽しんでいた。私は釣りしてないけど。
「また謝りましたね?」
「えっ、だって今のは私が悪いですよね?」
「悪くないですよ。ただ貴方がいると思っていなかったもので、少々驚いてしまいました。」
そういうと沖矢さんは、子供達の方へ行き話しに加入した。
そうだったんだ...でも結局、言った方が良かったと反省。
うわ、綺麗...!
大きな夕日が照らす海。とても芸術的だった。
しばらくボーッと海を見つめていると、沖矢さんが話しかけてきた。
「Aさん、あれが一角岩ですよ。」
「ん...?」
「すみません、ボーッとされていたので。船酔いしましたか?」
「あっいえ、海が綺麗だったのでつい。」
私、今どんな顔してた?
結構前に妹から、ある日突然指摘されたことがある。
《姉さんのガチの真顔ってめっちゃ怖いね。》
本当に突然。喧嘩したとかそういう訳でもなく。
何も考えていないでボーッとしてたら言われた言葉。
もちろん、妹がそう感じただけなのかもしれないけど、怖いと感じるならもう気を抜いちゃダメだと言い聞かせた。
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れりー - ガニモスさん» はじめまして。応援ありがとうございます。続編もよろしくお願いします。 (2022年5月15日 18時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
ガニモス(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく閲覧させていただいております。今後も更新頑張ってください。 (2022年5月11日 23時) (レス) @page39 id: 641fd1fa7b (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - れりーさん» ベルベットというお酒があるのですね!勘違いをしてしまい申し訳ございません!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2022年5月11日 15時) (レス) id: cfd9189861 (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 月雨さん» 即座に直しました。教えてくださりありがとうございます!ベルモットではなくベルベットというお酒を見つけて名付けていました。紛らわしくて申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 花音さん» はじめまして。ありがとうございます。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れりー | 作成日時:2022年5月5日 22時