The love stories 【短編集】 JW&KJ

聞きたくない　　　Ｎｏｚｏｍｕ．Ｋ ページ36

.









教室に入った瞬間


クラスの男子に冷やかされながら、席へ歩く


ニヤニヤ笑う幼馴染のヤツを


じとーっと生暖かい目で見てやる。




案の定、私と席が近いヤツはそれに気づいて


ぎょっと少し後ずさる。








望「・・・瞬き全然せんやん。」

貴「そこかよ。」




いつも通りそうツッコむと


さっきの私の視線は痛くも痒くもないらしい。


ははは！って、ボケた後のくせでくしゃって笑う。




そのせいで、つられて笑ってしまって


自分が苛々してるのも


柔らくなってほどけるように、消えた。









.








重「小瀧〜！聞いたで。学年で１番可愛い子に告白されたんやろ？」




但し、案の定弄りに来た男子のおかげさまで


私の機嫌はまた一気に下がる。






望「あ、そうなん？好みちゃうから。」

重「俺の事狙ってると思ってたのにー！」

望「お前彼女おるやんけ！しかも名前覚えてないところあんま興味ないやろ。」

重「覚えてるしー！永野さん。」

望「鳴海さん。」




ていうか、お前は名前覚えてるんかい。


てことは、あんたの言った言葉通りなら、興味あるんかい。









・・・・・・雰囲気からして


断ったのは感じ取れた。



でも、痛い。





ちくちくと


針を何本も刺されてるみたいだ。








.








.









望「A？」

貴「・・・何やねん。」





誰かが自分の名前を呼ぶのが



この人だけ下の名前で


この人が下の名前で呼ぶのが私だけで


やけに声が甘ったるくて




・・・・・・ああもう！






.







貴「昔っからモテすぎやねんお前・・・」





睨み付けてやると


少しは怯むかと思ったのに



笑顔を絶やさず


むしろ増す。







望「怒ってる。」

貴「は？ちゃうし。」

望「俺の事お前とかあんたとか代名詞で呼ぶときは怒ってる。」

貴「何その基準・・・」

望「幼馴染ナメんな。」




じゃあ、好きな人が幼馴染の


しかもモテるヤツな人の苦労ナメんな。







貴「・・・・・・望、好き。」








.








.









望「俺も好きやで。」





意味は、知りたくもない。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

幼馴染の嫉妬

崖から堕として　　　Ｄａｉｇｏ．Ｎ→←気にしい　　　Ｔａｉｓｅｉ．Ｆ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す