The love stories 【短編集】 JW&KJ

目を覚まして　　　Ｎｏｚｏｍｕ．Ｋ ページ20

.








貴「いつまで寝てるん。」




真っ白なシーツに同化しそうな


白い頬を、むにっと摘まんでみる。






望『ちょお！何すんねん痛いわ！』




そう聞こえたのは


耳に聞こえたのじゃなくて


記憶から来たものらしい。







だって、ピクリとも動かないんだもん。







.








コンビニで何か買おうとしがてら


ぶらっと歩いてたら見つけた病院内のベンチに座る。








幼馴染やった。



ずっと実は大好きで


高校に入ってからようやく付き合えた。





やのにそれからすぐ、望は交通事故にあった。







望のお母さんから


「これAちゃんにあげたくて買いに行ってて、その時に交通事故にあってんて。」



って、多分誕生日プレゼントにするつもりだってであろう


何かアクセサリーが入ってると思われる箱を渡された。






もう。何で私のために出かけてる時に事故あってんねん。


てか望のお母さん。そんな遺品渡すみたいにせんといて。








事故おこした運転手の人も重態。




じゃあ私は


この怒りとか悔しさとか悲しさとか寂しさとか



色んな暗い色の感情がぐっちゃぐっちゃになったこの気持ちを


どこにぶつければええ？







.








貴「さっさと起きろや・・・・」




そしたらこの感情全部ぶつけるんやから。


あんたしか私には感情全部さらけ出せる人おらんねんから。









貴「さっさと起きろアホ！」









.









.









望「アホは無いやろ。」

貴「はっ・・・・？」






いきなり後ろから来たぬくもりは


全然力がない。




だから咄嗟に、私がぎゅっと腕にしがみついた。





望？望？


本物？消えない？






無意識に力が強くなってたのか


望のふっと笑う声が聞こえる。







望「幽霊ちゃうし消えへんよ。」

貴「・・・いきなり抱き着くんは・・・変質者みたいや。」

望「そこは彼氏やからセーフやろ。」

貴「・・・寝すぎや。それ以上育たんでええんやからもっとはよ起きたってよかったやん。」

望「んーそこは、ごめんとしか言いようがないなあ。」





ぽんぽん、と私の頭を軽く叩く。




痩せても、力が無くなっても


これの感覚はおんなじだ。







.








貴「誕生日プレゼント。」

望「え？」

貴「貰ったけどあけてへんねん。」




貴「望が、私につけてくれる？」







そう言うと、驚いたように目を開いてから


「俺もそうしたかってん。」と目を細めた。

「優しい」　　　Ｓｈｏ．Ｈ→←愛の告白　　　Ｒｙｕｓｅｉ．Ｆ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す