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『自分の考えをはっきり伝えてもいないのに、相手の行動に不満持ってるだけって、
あんたそれ、片想いしてた時期から少しも成長してないじゃん』
友梨に話したら、きっとそう言われるのだろう。
そう、確かにあたしは全然成長していない。
『もうちょっと優しく言ってよ〜』
軽いノリでもいいから、
その一言だけでも言っていればよかった。
そしたら、忠義はあたしにちゃんと向き合ってくれただろうと思う。
そもそも忠義の言うことは大概正論で、
一緒に住んでる分、きっと忠義もあたしと同じように、
あたしに不満を感じることもあったに違いない。
だからこそ、
ああやってあたしに少し口調はきつくても不満をぶつけてくれていたんだろう。
だからこそ、
あたしにしっかり向き合って、本音をぶつけてくれていたんだろう。
あの一言が出るまでそれに気付かなかったあたしは、
忠義のように己の気持ちをぶつけられなかったあたしは、
やはりこうして一人の生活に逃げ出すのが正解だった。
――と、思いたいな……。
二日の有休を使って新しい我が家の整理を概ね終えたあたしは、再び会社に出社し、仕事に打ち込んだ。
「お友達ポジションから距離を縮めるんだッ！」
まさかの慶斗が好きだと暴露した友梨は、この頃は闘志に目を光らせている。
慶斗は、一時はあたしを好いてくれていたけど、今は相変わらずひらひらと女性社員のアプローチを交わしつつ完璧に仕事をこなす。
時間は滞りなく進む。
だから、あたしも現実と向き合わねば。
何の話し合いも別れ話もせずに逃げ出したことに若干の後悔をしつつ、
だけどあたしの判断はきっとお互いにとって正しいものだったのだと言い聞かせ、
忠義の連絡先が消えた携帯と、
忠義の気配が消えた部屋と、
忠義との関わりが消えた時間と共に、
あたしも前進しなければ。
そう、意気込んでいたのに……
「――やっと、見つけたッ………！！」
気分転換に買い物にでも行こうと街中をぶらついた帰り道、
少し仄暗くなってきたあたしの家の傍の公園を通り過ぎた時。
後ろから駆け寄ってきた慌ただしい足音が、
あたしの手首を掴んだ汗ばんだ手の体温が、
振り返った先に見えた悲しそうなその表情が、
大好きだった、彼のものだったらいいのにと、
瞬時に思ってしまったあたしは、
全くと言っていいほど、
前に進めていなかった。
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渡璃凛(プロフ) - 雨さん» 細かいところは私のこだわりというかスタイルなので気にしないで頂きたいです。イモるというのは物怖じするとかビビるという意味です。続編は今のところ考えていませんがまたいつか機会があれば書かせていただきます。 (2021年3月1日 13時) (
レス) id: ca2c84b988 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 何度も続けてのコメントですみません。 続きがあるなら39からとかでも良かったのでは？と 思ってしまって｡｡｡ 何かすみません(>_<) (2021年3月1日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - またまた続けてのコメントですみません...。 最後に一つだけ気になったことがあるのですが｡｡｡ 物語38の後にお礼とお知らせ■作者よりの後も物語は 続きますが...。 何故そこでは物語の各題名に数字とか何も無く・だけ なんでしょうか？ (2021年3月1日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - また続けてのコメントですみません｡｡｡ 物語読みました。 物語は完結してしまいましたが...。 その後の2人が気になります。 (2021年3月1日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読んでいて一つお聞きしたいことがあるのですが...。 ・ページ47のここの部分 自分で探そうにもいざ会ったら絶対イモるやろうから〜 この絶対イモるやろうから〜のイモるとはどういう意味なんでしょうか？ (2021年3月1日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渡璃凛 | 作成日時：2020年10月8日 17時
