対向車線【紫】 (ページ18)

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「せやなあ、それ未だに謎やんなあ」

信五のスキャンダルから、もしくは大倉くんを相方という位置につけてから２か月ほど経って。

今日も今日とて、大倉くんはあたしの前でビールを嗜んでいる。

あたしは若干食事制限中だからお酒は控えて、

サラダを頼んだ。

「今だから言うけど、俺村上くんは結構Aちゃんのこと好きやと思ってたんやけどな」

「いや、それ、大倉くんの口から聞くの初なんですけど。何で今言うの！」

「ごめん(笑) いや俺もはっきり聞いたわけとちゃうけど……態度からして、何となく。

やから、少なくとも村上くんがAちゃんに言った『好き』に嘘はないと思うねんな」

「となると、そこから一定期間で心変わり……」

ああ、口に出すとつらい。

自分で言っといて項垂れてしまったあたしの頭を、大倉くんは呆れたように撫でてくれた。

ハイ、今日の議題

『信五があたしに好きだと言ったのは何だったのか』

についての結論は

『"好き"に嘘はないが心変わりをしてしまった』

ということで終了！

Ω＼ζ°)ﾁｰﾝ

「そしたら……あとはもう、時間が解決してくれるまで気長に待つばかりだな…」

「無理して気持ち紛らわそうとせんでええと思うんやけどなぁ、俺は」

「ちょっとくらい無理しないと虚しくなるばっかだし仕事にも支障出るし。
……ってか、大倉くんに対して何か言ってきてたりしないの？あたしのこと」

「近付くな言うてんねやから、言うてくるわけないやろ(笑)」

「だよねぇ……」

目の前で頬杖をつく顔の整ったデカい熊を好きになれたら。

そう思ったことは、一度や二度じゃなかった。

でもおそらく大倉くんはあたしのことそういう風に見てないだろうし、

あたしもそういう風に見ることはないだろう。

そう思うと一層、あたしのために時間を割いてもらってるのが申し訳なくなる。

でも、少なくとも「相方」としてあたしの傍にいてくれるのは、この上なく心強かった。

兎にも角にも、こうして相方大倉くんの力を借りつつ

ズタボロになったメンタルを少しずつ回復させて

信五への淡い気持ちを浄化させて

新しい道を進んで行けるようになるんだ。

と思っていたのだが

思わぬところで邪魔をする人物がいた。

「Aちゃ～ん、ご機嫌いかがですかぁ？」

スキャンダルの張本人、ミカだ。

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