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横山side
「「Aっ！」」
俺とAのオカンはAの名前を呼んで勢いよく立ち上がった。
手術室から出てきたストレッチャーに横たわるAの顔が見たくて急いで駆け寄った。
静かに眠るAの顔は白く、生気を感じられない。
「おい！A！」
名前を呼んでも、当然反応しない。
そん時、Aのオカンが俺を呼んだ。
「私は今から、お医者さんの話を聞きます。
横山さんは……Aのことを支える覚悟がおありなら、傍にいてあげてください」
んなもん、当たり前や。
俺は一礼して、運ばれるAのあとを追った。
病室の白いベッドにAを寝かせた後、看護師さんは俺に何も言わんと部屋を出て行った。
人工呼吸器をつけられたAの顔を覗くと、やっぱり生気を感じられない。
「……っ、嘘やろ？なあ、俺まだ謝ってへんやんか？おい、A…！」
返事はない。目も開けない。
視界がどんどん滲んでいくのが分かるけど、そんなんも気にせんと俺はひたすらにAの名前を呼び続けた。
・
・
「……はっ！！」
気付いたら寝とったらしい…
俺の肩には婦人用らしきジャケットがかけてあった。
Aのオカンがかけてくれたんやろか……
パッと携帯を見ると朝の４時やった。
時間やばいかな……でも今日マネージャー来るの、確か１０時やったから大丈夫か。
恐る恐るAの顔を覗くと、相変わらず白く生気のない寝顔があるだけやった。
「………なぁ、俺、ほんまに酷いことしたわ……」
俺は頭がおかしくなったんやろか。
聞いてるはずもないのに、Aに話しかける。
「俺は早よAと出かけたりしたいと思っててん…そのためにも早よ治してほしくて……
自分のことばっか考えて、Aの気持ちも考えず、ただ俺の欲望ばっかぶつけて、
Aが一番不安やのに、それに寄り添うこともできひんかった…。
ほんまに、ごめん………………」
散々泣きはらしてパンパンに浮腫んだ目からまた雫が落ちる。
もう、手遅れ、なんか……？
「そういうことはさぁ……
あたしが起きてから言ってくんないと、聞いてあげられないじゃん…」
びっくりして椅子から転げ落ちそうになって
慌てて体勢直してAの方見ると、
変わらない白い顔で、しっかり目ぇ開けて俺んこと見よった。
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作者名：渡璃凛 | 作成日時：2020年8月25日 16時
