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あたしなりにグイグイいったつもり。
今日は流石に、ちゃんと答えてくれるよね…？
「知らんで？引いても」
引く？なんで？
何かやましいわけが？
でも聞かないわけにはいかない。
じぃっと見つめてみると、みるみるうちに丸山さんの顔が赤くなっていく。
……これは、いい流れなのでは…？
「どうなんですか？」
「……しゃあないなぁ、もう」
隣に座る丸山さんが不意にガッとあたしを抱き締める。
いつもの優しいのとは全然違う、ぎゅうぎゅうと苦しいくらいのハグ。
ぎゅうぅぅ………
「ちょ、ちょ！丸山さん苦しい！！」
「こういうことやで」
こういうこと？どういうこと？
はてなマークの浮かぶあたしの顔を、身体を離した丸山さんが覗き込む。
「俺、独占欲強いねん」
「はい？」
「せやから、あくまでAちゃんが俺を好きやっていう構図を保ってきた」
何となく丸山さんが本心を語ってくれているであろうことは分かるんだけど、
どうにも呑み込めないあたし。
そんなあたしをじれったく感じたのか、またきつく抱き締められる。
「だからぁ……俺はどうしようもないくらいAちゃんが好きなの！
もうほんまに、誰にも渡したくないねん！
独占欲強すぎて嫉妬心もメラメラやし、どうしようもないねん！
せやから、自分にストッパーかけて余裕を保ってたんに……
Aちゃんがそんなん言うから、もう俺歯止め効かへんからな！」
………えーと。
今目の前にいるこの人は
あたしをいつにも増して強い力で抱き締めるこの人は
耳が真っ赤になっているこの人は
あたしの耳元に艶やかな吐息を落とすこの人は
本当に、丸山さんですか…？
「やっぱり、引いた……？」
何も言わないあたしを不安に感じたのか、丸山さんが困った顔であたしの顔を覗き込む。
――――狸みたいな顔。
「ぶふっ(笑)」
「えぇ！そこ笑うとこ！？俺マジやのに！」
うん、あたしも相当重症みたい。
丸山さんの本音に、引くどころかもっと愛おしいと感じてしまうんだから。
目の前にある、京都人感満載の表情
困ったように下がる眉
口元のホクロ
薄い唇
ふわふわの髪の毛
すらっとした指
全てがあたしの心臓を捻り潰しているかのように
丸山さんの一つ一つのパーツが愛おしくて、胸がドキドキして
あたしから唇を重ねてやった。
「そんなことしてぇ……もう。知らんで、ほんまに」
その夜は、いつもよりも甘々だった。
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作者名：渡璃凛 | 作成日時：2020年8月25日 16時
