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そう言えばもうすぐ1年記念日だ…
という意識をしているのはきっとあたしだけなんだろうけど。
最初こそ幸せ絶頂だったものの、ちゃんとあたしを見てくれているのかどうか分からないことを考え始め、
それならば好きって言ってもらえるようにと奮闘し、
努力はいまいち実らず、
相変わらず丸山さんはつかみどころがなく、
甘々な愛情(本心は分からないけど)をくれる丸山さんに対してあたしの気持ちばかりが膨らみ、
ずるずると1年が過ぎていた……
いや、待てよ？
仮に丸山さんが女の子目当てってだけであたしと付き合ってるとすれば、1年は長すぎないか？
うぅ……分からん。
こうなったら、1年記念日に丸山さんを誘って、今度こそはっきり聞きだしてやる！
そう意気込んで連絡した結果はまさかの
『その日は遅くまで仕事やねん、ごめん！』
と撃沈。
うん、これは絶対……
「――1年記念日って、覚えてないじゃん…」
記念日とか言うのは、女側ばっかりが意識するってイメージがあったけど、
本当にその通りなんだな……。
まぁ、仕方ない。
記念日を忘れているということ自体が、あたしが気になっていることの模範解答になっているような気がするけど
それにはちょっと目を瞑り。
『それならその近辺で会えませんか？』
別日でもいいと見栄を張って、なんとか丸山さんと会う約束を取り付けた。
今度は流されない、負けないと意気込んで。
はっきりさせるんだ、この関係を。
あたしもいつまでも、この甘々ふわふわな関係に縋っているのはやめよう。
まぁ、もし、遊び半分で女の子欲しさに付き合ってるなんてことを言われたら……
その時は、あたしはどうするんだろう。
きっと、多分、それでもいいって思っちゃうんだろうな。
うん、それでもいい。
とりあえず本心も分からないまま付き合い続けるのには疲れた。
「ごめんなぁ〜今日ちょっと部屋散らかってんねんけど…」
いつも通り快く部屋にあげてくれた丸山さん。
部屋の匂いと、スウェット姿で無防備な丸山さんに、ほんのりと優越感。
ビールを手渡されたけど、今日はお酒の力は借りない。
「後で頂きます♪」
やんわりと断ったあたしの様子に、何かを察したのか、丸山さんもお酒に口をつけなかった。
ソファでまったりとくつろぎながらぼそぼそと世間話。
そしてあたしは遂に意を決した。
「ねぇ、丸山さん」
「ん〜？」
「丸山さんにとって、あたしって何ですか？」
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作者名：渡璃凛 | 作成日時：2020年8月25日 16時
