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結局あたしは、自分でも呆れるくらいにメンタルが強いみたい。
「…それってさぁ、あたしのこと好きってことよね？ねっ？」
「っんなわけあるかい！だぁrrrれがお前のことなんか好きになるか！」
「だったらあたし、大倉くんのこと狙っちゃおうかな……」
ピタリと動きを止める信五。
―――ほら、ね？
期待しちゃうあたしは、決して馬鹿じゃないでしょう？
ねぇ、はっきり聞かせてよ。いつまでもはぐらかしてないでさ。
好きなら好き、嫌いなら嫌いって。
思い返せば信五があたしの告白を断るときって、いつも
"彼女いらないから"
って言うだけで、あたしのことどう思ってるかなんて言わなかった。
あたしはもうちゃんと言ったんだからさ。しかも2回。
「―――だぁぁぁっ！！！」
「びっ……くりしたぁ！な、なに！？いきなりでかい声出さないでよ！」
「くそぉ……ほんま、何やねん…」
「何言ってんの…？」
頭を掻きむしった信五は、頭をブンブン振って、
額に手をやり、首に手をやり、肩に手をやり、
鼻に手をやり、膝に手をやり、口に手をやり、
そして、
あたしの頭にその手が乗せられた。
「悔しいし認めたないけど……
多分、俺、
お前のこと好きなんやわ」
グッと手に力が入る。
……って痛い！痛いから！首が胴体に埋まっちゃうよ！
「ちょ、何か言えや！」
「――――……ドアホ。あたしはもっとずっと前から好きだっての」
せやなぁ、ごめんなぁ、と言いながらあたしの頭をわしゃわしゃと撫で回す信五。
やっとあたしの長い片想いが少なからず報われたのに、ムードも何もあったもんじゃない。
「好きなんは、しゃあない、認めるけど……ひとまず付き合うとかいうのんは、勘弁してくれ。
ほら、俺らこういう仕事してるし、お互い休みもあんまりあらへんし。
何より週刊誌とかにまた捕まるかも分かれへんし。
せやからもう少し、今の関係、続けさしてくれ…」
あ、大倉に心変わりするのは許さへんよ？
とか言っちゃう信五は相変わらず勝手すぎ。
けどまぁ、あたしの長い長い一方通行の道に対向車線が出来ただけでも、あたしにとっちゃかなりの大進歩だと思う。
2人で並んで歩ける一方通行の道になるまで、もうひと踏ん張りってとこかな。
Fin.
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作者名：渡璃凛 | 作成日時：2020年8月25日 16時
