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「いやぁ〜流石の村上くんでも、そこまではせんと思うで？」
顔を赤くしてあきらかに酔っていても話を聞いてくれる大倉くん。
一応、ちゃんと聞いてくれてるんだね。
でもさ？
「―――あたし、もう何回告白してきたと思ってるの…」
途中までは覚えてたけど、酔った勢いなんかもあったと思うしもはや正確な回数は覚えてない。
「んー俺が知る限りでは、１０回は越えてるよなぁ。ほんまメンタル強いで、自分」
デスヨネ。
自分でもそう思う。
それくらい、アホみたいに信五が好きなんだよな。
「でも、その強靭なメンタルが、そろそろ擦り切れてきているんですよネ……」
「え！？そうなん？てっきり平気なんやと思てたわ！アッハッハッハ！」
「ちょ、失礼な！」
ハードな心を持ち合わせてるあたしだって、凹んだり悩んだりするっての。
信五が他の女性にどついたりしてると、モヤモヤするし。
たまに向けられる優しい視線に期待しちゃうし。
告白をスルーされたら普通に傷つくし。
「どっかでヤケクソになってるとこない？ちゃんと言わな、いつまでも冗談や思われるで？」
「それは……困る、けど、」
「けど？」
「本気の告白して、それでまた振られたら、それこそイタイ奴じゃない？」
「それは知らんで俺は。本気でぶつかってダメやったら、そん時はそん時やん」
「無責任な………」
揶揄ってくるだけかと思ったら、こんなアドバイスまでくれちゃうんだね。
あたしは何だか腑に落ちた気になって、
「――――頑張るかぁ……」
と零した。
それを聞き届けた大倉くんはニヤッと笑って
「頑張りや？」
とあたしの肩を叩いてくれた。
…………………とは言ったものの。
そもそも常に憎まれ口減らず口の信五と、そんないい感じの雰囲気になんてなるのか！？
という問題がある。
やっぱりなんだかんだ食事に付き合ってくれてる信五は、店の端の方の個室にて、あたしの目の前でモガモガと焼き鳥を頬張りながら今日の収録での話をしてる。
…いや、そもそも一世一代(？)の告白をするのに焼き鳥屋を選んだのが間違い？
こういうとこじゃん、あたし！ばか！
「ん？ふわへんの？ひゃめふで？はおふえ！」(ん？食わへんの？冷めるで？早よ食え！)
悶々とするあたしの様子に気付いて、あたしにずいっと焼き鳥を差し出す信五。
ムードもクソもないじゃんか。オイ。
………食べ終わってから言おう。そうしよう。
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作者名：渡璃凛 | 作成日時：2020年8月25日 16時
