キ ラ イ 喪 失【そらる】

page5「罰」 ページ6

あの日から私は独りだった。


唯一無二の両親も、
大好きな姉も、誰もいない。

友達だって、綺麗な姉が目的で私に近寄って来た人ばっかりで
姉がいない今はもう、醜い私なんて視界に入らない。



_______これがきっと姉の病気に気付かなかった罰なのだ。




そらるさんはあれから私の目の前に現れることはなくって、
どれ程私が憎くて嫌いなのかが痛いほどわかった。



_______私は、好きだったのに。




ファンとして好きじゃなくて、
1人の男性として好きだった。



姉とのコラボで家に来た時、
私に向けてくれた笑顔が今も脳裏に焼き付いていて、
胸をきつく締め付ける。

でも、嘘だってわかった。
彼は【姉の妹】だから、という目で私を見ていたんだ。


悲しかった、辛かった、苦しかった。


だからあの時から、好きなんて言葉はキライで隠した。




誰も私自身を見てくれてなかった。
姉がいなくなった今でもそれは変わらない。


その証拠が
今まで仲良くしてくれていた歌い手さん達が
あれをきっかけに疎遠になった。

つまり、私は姉のオマケ的存在で、
私自身にはなんの存在価値もないのだ。




_______私の居場所なんて、ないのだ。



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「…またくだらないこと考えてた……」




部屋に掛けてある壁掛け時計が午後２時になったことを知らせた。

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