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page15「真意」 ページ23

傷付けたくない、傷付きたくない。
人の心はすごく脆い。

だけどそれは逃げてるだけで、なんの解決にもなっていない。
それは誰もがわかってるようなふりをしてて全くわかっていない。


_______それは私も同じだ。



夢が覚めて欲しいって願ったのは自分が傷付くと言うのが何処かでわかっていたからだ。
ただ、逃げようとしていただけ。


でも私がこのままじゃ、いつか誰かに深い傷を負わせてしまう。
自分だけ、心は護られて。



_______そんなの、嫌だ。




「…私がこうなっちゃう前に何かあったなら教えて欲しいの……!!

2人は優しいから私を傷付けないようにしてくれる、

………でもこのままじゃ2人が傷付くだけなんだよ…!!!」



驚いた顔をしていたまふくんは俯いてしまって表情は読み取れない。
キヨくんは何かを考えているようで目が合うことはなかった。


重い沈黙が伸し掛かる。
が、その沈黙は意外と短かった。



「……いたよ、お前に姉貴が」


「キヨ!?」


答えてくれたのはキヨくんだった。
それに俯いていたまふくんの顔がキヨくんへと向く。


「すっげぇゲーム上手くて優しくて、そんでもって可愛くて、…正直好きだった。」


そう言って笑うキヨくんは悲しそうだった。
その言葉を聞いたまふくんも泣きそうな、辛そうな表情へと変わる。

私の心臓はドクンッと嫌な音を立てた。



_______なんで、2人してそんな顔するの……



そんな私の疑問は届くわけもなく、キヨくんは続ける。




「みんなに愛されてたよ、お前の姉貴は。

フジも、ヒラも、こーすけとかも…俺が知ってる限り全員」




「なんで言ってくれなかったの?」

そう言い終わる前にこの空気に似合わないドアを開ける音が聞こえる。
私を含めた3人で扉を見るといつも私の検査をしてくれる看護師さんがそこに立っていた。



「Aちゃん、悪いんだけど今から検査始めるから御友人と挨拶した後、いつもの所来てくれないかな?」



「あ、はい…」



私が二つ返事でそう返すと病室の外で待っていてくれるのか、病室から出た後ガラス越しに影が映った。


「2人ともごめんね、今日はもう話せる時間ないみたい…」


そう私が言うと、2人は渋る様子もなく了承してくれてそのまま彼らは病室を後にした。



***




「なんでAにお姉さんのこと話したの」


横を歩くまふまふはさっきまでの態度と異なり、ドスの効いた声で俺に問う。
それを俺は鼻で笑うだけで答えようとしなかった。

page16「要らない優しさ」→←page14「護られる」



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作品ジャンル:恋愛
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時

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