page10「名前」 ページ18
「…ぇ?」
髪の毛がクルクル、という共通点は以前、私の病室にきた人物と一致している。
それが、まふくんが言っていた、『そらるさん』なのだろうか。
面識はある、と言っていた為、入院している私の所へ足を運ぶのは不自然ではない。
_______なんで誰も教えてくれなかったの…?
あの時きた人物が『そらるさん』というのは確信に近かった。
なら何故、誰もその人物がそらるさんだと教えてくれなかったのだろうか。
「おばさん…?」
とその声でハッと我に返る。
考えすぎて周りを見えてない所が私の悪い所だと、誰かが言っていた気がする。
それは誰か、と考え出すときりがないに加え、どうせ思い出せない。
「あ、なんでもないよ!
それより、その人の話、詳しく聞かせてくれないかな?」
_______少しでも、『そらるさん』に近づきたいんだ。
何も知らない、聞かないままじゃ、絶対に後悔する。
「うん!!いいよ!!!」
快く返事をした光希くんにホッと安堵の息を漏らす。
今まで聞いた人は皆が皆、はぐらかして何も教えてくれなかったのだから。
「あ、その前に僕も聞きたいんだけど!おばさんの名前ってなんて言うの?」
「私?私はAって言うんだよ」
医者や、まふくんに呼ばれた名前。
それが本当にこの名前であるには確かであろうが、あまり実感がわかないようなむず痒い感覚である。
早く本題を聞き出したいが、それを答えるのは止むを得ない。
自分の名前を名乗ったところで、本題を尋ねようと声を発するが、それは光希くんの声に被さってしまった。
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「嘘だー!!おばさん、嘘はダメなんだよ?」
光希くんは可愛らしい笑顔を私に向けてそう言った。
だが、その言葉の意味がわからない。
A、これが私の名前の筈だ。
医師も呼ぶほどなのだから、間違いはない。
なのに
_______【A】という名前が嘘…?
「…どういう、こと…?」
私がそう問うと、光希くんはまた可愛らしい笑顔でクスリと微笑った。
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時