世界は箱庭 (ページ30)

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25話ページ30

ボールは転がりラインの外へと出て行く

「半田先輩なんで豪炎寺先輩にパスしないんですか！？」
「そうですよ！豪炎寺さんノーマークだったのに！」
「なっ！だってアイツにボール渡したってシュートしないだろ！？」

1人もマークが付いていなかった豪炎寺にボールを渡さずに染岡へパスを出した半田へと少林達が詰め寄り責める
しかしキックオフの際、何故か後ろにいる少林にボールを送った豪炎寺に不満を持つ半田が食い掛かる

「お前ら、次は決める黙って俺にパスを出せばいいんだ」

言い合う半田達に向かって染岡はそう言い放つ

＿＿＿＿＿
フィールドの様子を見ていたベンチメンバーは不安を募らせていた

「染岡君…」
「なんだか雰囲気が悪いですね…」
『…』
「成る程…」
「何か気付いたの目金君？」
「染岡君は焦っているんですよ」
「焦ってる？」
「ええ、残りの時間、シュートが決まらない原因…」
『…それと豪炎寺君に対する嫉妬と反感…かな？』

目金の言葉に続ける様に話すAに3人は顔を向ける

「嫉妬と」
「反感…ですか？」
『…必殺技が出来たと言えど染岡君の中では豪炎寺君が放つシュートのイメージが強いんだろうね、アイツよりも俺の方がって言う思いがあるんだと思うよ』
「だから、攻めない豪炎寺君よりも攻めて点を取ると対抗しているのね…」
『まぁ、そう言う事かな』

Aが話した内容は豪炎寺を良く思ってない染岡の心情を表していた

「なら…雅先輩が試合に出た方が尚更良かったんじゃ」
『…』
「雅君はあえて試合に出なかったんですよ」
「え？」
「委員長という事もあると思いますけど雅君は良く見ています。周りの事、それぞれの心情、相手への思い…正解でなくとも近いモノを雰囲気で感じ取ってるんですよ」
「だったら…」
『成長しないからだよ』
「雅君が試合に出たら仲間割れせずに終われると思います、言わばクッションの役割があるんですよ」

ベンチで話している間にもフィールドでは試合が続けられている
ボールを持つ少林へパスを呼び掛ける染岡だが少林がパスをした相手は豪炎寺、その事に半田が注意すると少林や栗松が染岡のシュートでは止められてしまう今、点を取れるのは豪炎寺だけだと言い放ちそれに目くじらを立てた半田が愚痴をこぼす
そんな後ろの様子を無視し、豪炎寺の持つボールを強引に奪い尾刈斗中のゴールへとシュートを放つが鉈のゆがむ空間により止められてしまった

『彼等にはそれぞれを信用して欲しいんだ』