10話 ページ13
豪炎寺は目の前に落ちている雷門イレブンのユニフォームを見つめ今は居ない妹の姿を思い出していた。
「…(夕香)今回だけお兄ちゃんを…許してくれないか」
覚悟を決めたのか豪炎寺は10番のユニフォームを手に取る。
「Aはどうするんだ？」
『え？僕？』
「…」
豪炎寺は己と一緒に試合を見ていたAに顔を向け問いかける。
『僕は…』
「昔、やっていたんだろ？」
『ん…円堂君との会話聞いていたのかい？』
以前、円堂にサッカーをやっていたと伝えたのを、豪炎寺に聞かれていたと知りAは苦笑いする。
『…』
「…」
『…分かったよ。やるよ……はぁ…まだ答えは見つかってないんだけどなぁ…』
「行くぞ」
『あぁ！待って待って、君は10番のユニフォームがあるけど僕は無いんだ。取りに行ってくるよ』
「…」
無言のままお互いを見ていたが先にAが折れ、試合に出る事になった。しかし、肝心のユニフォームが無い事に気付いたAは借りてくると一言豪炎寺に言い去っていった。
＿＿＿＿
『お待たせ…ごめんね？』
「…いや」
それからやって来たAは背番号が19番のユニフォームを着ている。
ピィィィ！！
Aが戻って来たと同じ時にゴールが決まったというホイッスルが鳴り響く。
[ゴォォール！帝国これで20点目！！］
誰もが勝負は決まったと思っている中、驚きの声が聞こえてきた。
「誰だアイツ？」
「あんな奴ウチのチームにいたか？」
「何で雅が居るんだ？」
「Aの奴、ユニフォーム着てるぞ！」
［おや？彼はもしや、昨年のフットボールフロンティアで1年生ながらその強烈なシュートで一躍ヒーローとなった。豪炎寺 修也！！その後ろにはクラス委員長を務める雅 Aの姿も見るぞぉ！？なんと2人は雷門のユニフォームを着て我々の前に登場！！]
実況の声にそれぞれが驚愕の表情を浮かべている。豪炎寺とAの下にサッカー部顧問兼監督の冬海と審判が駆け寄る。
「待ちなさい、君達はウチのサッカー部じゃあ…」
「良いですよ。俺達は」
帝国学園から選手交代の承認が出た為、2人の参加が認められた。
「豪炎寺！A！やっぱり来てくれたか！っあ…」
「大丈夫か！」
『円堂君！』
散々ボールを打ち付けられた身体を起こし豪炎寺とAに言葉を掛ける円堂。だが、疲労により体勢を崩してしまう。咄嗟に豪炎寺が支え地面に落ちる事はなかった。
「遅すぎるぜ、お前ら」
「….フッ」
『ごめんよ？』
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作者名：雨の子 | 作成日時：2019年4月17日 16時
