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ユキ 視点
お祖父様が60歳になられて、私はもう直ぐ16歳になる。
私の国では、18歳で成人するのが習わしだった。
だから、お年を召したお祖父様の代わりに、私の18歳の誕生日とともに戴冠式が行われる。
それを聞いたのが、4日前の夜…だと思う。
それ自体に異論はなかった。
もともと私に選択権はなかったし、そういうものと聞かされて育ってきたいたから。
ただ、ひとつだけ。ひとつだけの不満。
お祖父様「お前は戴冠式と同時に、結婚式をあげるんだ。この国では、王族は配偶者なしに王位を継ぐことはできない。」
相手も誰でもいいわけではない。
好きな人と結婚していいのかと聞くと、お父様は頑なにダメだという。
お祖父様「ユキ…考えなさい。お前の夫になるということは、その男はこの国の王になるということ。自由は規制され、王族という名の鎖に縛り付けられる。」
お前も、好きな人には幸せになってもらいたいだろう?そう告げるお祖父様の言葉が、理解できなかった。
なぜ?
では、私の夫となる人は、幸せにはなれなくてもいいの?
私は、自由でなくてもいいの?
そう思うと悲しくて、悲しくて、お父様の言葉も耳に入ってこなかった。
学校に行くふりをして午前中まで学校に行き、仲のいい幼なじみに協力してもらってSPを撒き、出国ギリギリで飛行機に乗り込み、変装でごまかした。
本当は、国を出られればどこでもよかったんだけど、どうせなら、と日本に来た。
お父様が昔、一度だけくれたお土産。
私の1番のお気に入りのその簪は、桜という日本の花をモチーフにしたらしい。
小ぶりなピンク色の花びらは、綺麗なハートに彩られていて、とても可愛らしい。
本物を見てみたいな、とずっと昔から思っていた。
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drokmt2000(プロフ) - ジントニックさん» ありがとうございます!!更新は遅めになるかもしれませんが、頑張ります! (2019年8月17日 8時) (レス) id: ada097a728 (このIDを非表示/違反報告)
ジントニック(プロフ) - 凄く素敵です!これからも頑張ってください!!! (2019年8月3日 0時) (レス) id: 5f62958279 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花鳥風月 | 作成日時:2019年2月20日 20時