42 ページ43
アメリカでの予定も､なんだか異様に早く過ぎ去った気がする｡
それくらい彼らはひどく緊張していた｡
彼女に会うことが､少し怖くなっていたのだ｡
人間は誰しも恐怖からは逃げたいと思ってしまうもの｡
当然だと言われればそうだが､大好きな彼女にそういう思いを抱いてしまったことがなんだか悲しかった｡
時間通りに彼女がいるダンススクールに到着する｡
そこは田舎の小さなダンススクールだった｡
特別盛んという印象は無い｡
ギィ､とゆっくりと扉を押し開ける音が余計に胸を圧迫するようだ｡
音楽の流れるスタジオで､一生懸命踊る生徒たち｡
自分たちに気付いて､ダンスをやめる｡
なんだか騒がしくなってきた頃､先生らしき人が声をかけてきた｡
【お待ちしてました｡互いに刺激のある練習になれば何よりです｡早速ですが､皆さんがここに来ることになった5人のダンスを見ていただけますか？】
JS「早速､その5人ですか！？俺､一人だけすごく惹かれた方がいるんです！！」
【それは､嬉しいですね｡よろしければ､センターに来させましょうか？動画でどの位置にいた生徒ですか？】
JS「画面で見た時に､右後ろにいた方なんですけど…」
【あぁ､あの子ですか｡やっぱり見るところが違いますね｡メアリー！センターを変わってくれ】
メアリーと呼ばれた彼女は､帽子を取り綺麗なブロンドが広がる｡
柔和に微笑んだ彼女は､まさしくあの動画でセンターを張っていた子だ｡
メアリーは了承したのか､同じように帽子を被った子たちの方に行った｡
立ち位置に並び､センターにいたメアリーが後ろに立っている｡
今､センターにいる子が…Aなのかもしれない｡
顔は見えないが､動画のダンスならばセンターの子が帽子を脱ぎ捨てることになっている｡
ドクン､と重くて痛い鳴り方をした心臓｡
あの子がAだったら
心の中で何度も彼女の名前を呼んでいた｡
音楽が始まる｡
しばらく魅入ってた時に何度も聞いた曲だ｡
―――あぁ､もうすぐだ｡
無意識のうちに息を呑んでいた｡
大きく弾ける音楽と同時に､センターの子の帽子が取っ払われた｡
甘い茶色から色が薄くなっていくようなグラデーションの綺麗な髪が､無機質な空間に舞う｡
間違いなく､探していた彼女｡
Aだった｡
それは自分たちの知る彼女でありながら､妖艶だった｡
思わずごくり､と唾をのむ｡
目線は一切合わないのに､見透かされているような気になる｡
――――きれい
誰かが呟いた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
su4a54fpds(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。 (2020年7月18日 0時) (
レス) id: 93a8daf531 (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！！！ (2019年11月8日 7時) (レス) id: 034759dbd3 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぱーむむさん» ありがとうございます！！雑な終わり方で申し訳なかったです…！続きは内容を考えてみますね！近いうちにどっちかが上がると思いますので､楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 396d1f30b5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - かんめいさん» コメント助かります！！二人の小説は確かに少ないですよね…！個人的にはチソンくんの方が書きやすいので､チソンくんかなぁ…と｡続きは内容を､考えてみます！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 396d1f30b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーむむ(プロフ) - 毎日更新されるの楽しみにしながら見てました！ このお話の続きも見たいです！ (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9e8d1002e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まる | 作成日時：2019年8月15日 4時
