惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ43)

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『そういえば、今日はどこ行くの？』

渡辺「電車でちょっといった所。」

何度か行き先を聞いても、なんだかはぐらかされちゃう。
サプライズ的な感じ？

それともマジで行き当たりばったりなのか・・・。

今日の渡辺君はどこかいつもと違い雰囲気だし
すれ違う若い女性が彼を見て、
やっぱりちょっとだけ色めきだってる。

『渡辺君て、真面目にしたらモテるんだね』

渡辺「そーか？」

『なーんか、オシャレだし知らないお兄さんみたい。』

渡辺「こっちの方が好き？」

電車内なのをいいことに、小声で確認をする渡辺君はちょっと面白い

さっきから前髪とかソワソワしながら触ってるし
これは褒められ待ちとみた。

『うーん、稀にだったらいいと思うよ？』

渡辺「に、似合ってねぇと・・・。」

『あー違う違う。そんなばっちりいつも決めてるのは渡辺君ぽく無いなって』

『ちょっと寝ぼけたり、オフな感じも私はいいと思うからなー？』

渡辺「・・・さすがA、わかってんじゃん。」

あ、これ模範解答を引き当てたっぽい
ずっと不安そうな顔の渡辺君が一気に晴れたし

頭の上に
【やった！！！】

って表記が見える気がする。(笑)

『しょっぴー、機嫌良いね？』

渡辺「そんな事ねーし。」

二ヤつく口角を抑えながら、必死にクールぶる渡辺君。

なぁーんか、今日はいつもと違うなぁ(笑)

渡辺「あ、ここで降りるわ。」

『あ、はいはいー』