惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ25)

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喜びスギページ25

案外時間通りに来た渡辺君に感心しながら家を出ると、
そこにはいつもよりしっかりと髪をセットした渡辺君が。

寒いからか、鼻が少しだけ赤い。
ちょっとかわいいな

『渡辺君寒いんでしょ、鼻。赤いよ？(笑)』

渡辺「俺は平気。あいつらの所行こうぜ？」

『そうだね、いこっか』

いくら軽めなお菓子を作ったからと言って、
5人分だからこのお菓子入りの紙袋は少しかさばるし重い

渡辺「そんなにあんの？バレンタインのお菓子」

『あ、もうほしい？渡辺君のはねー』

渡辺「いや、今じゃないわ」

『え？今じゃない？』

渡辺「俺、バイト後でいいわ。そうさせて」

『いいけどさぁ。結構うまくできたよ？』

渡辺「楽しみにしてるわ」

駅から少し離れた、とある場所で待ち合わせらしいので
黙って渡辺君についていく

佐久間「あぁぁぁぁ！！！！来た来た！！」

『佐久間せんぱーい！お久しぶりです！』

岩本「久しぶり。」

渡辺「ここが揃うとうるさいな。」

ひっさしぶりの佐久間先輩に会うと、こっちまでテンションが上がってきた。
愉快な人たちだなぁ

『早速なんですけど、受け取っておらえますか？』

佐久間「ひゅお～、お、女の子からのチョコ・・・！」

『そんなにハードル上げないでほしいなぁ・・・(笑)』

岩本「Aから貰うの、中学ぶりだな」

『懐かしいね、あの時は何作ったっけなぁ～』

岩本「確か、ブラウニー。ふっかも覚えてると思うよ(笑)」

渡辺「そういや、あいつは？」

ちょっとだけ顔が引きつる。
あの人、今日は会えないんだよ

佐久間「なんかね、あいつ他学部のコマが補講になったから夕方まで大学なの。」

岩本「へぇアイツついてないな。」

『まぁ、深澤先輩には渡せないね、仕方ない』

渡辺「・・・それでいいの？Aは」

『仕方ないって、言い聞かせるしかないよ。』

本当は、そりゃあ久しぶりに彼に渡せるバレンタインだし

・・・申し訳ないけどほかの人たちのよりも出来が良くて
見栄えも最高に良いやつを選んでしまっている。

佐久間「俺から渡す？それでもいいけど・・・。」

渡辺「直接渡したいんだろ？恋する女の子の気持ちは複雑なんだっけ？」

『・・・ちょっと馬鹿にしてる？』