惑わせる彼【紫】 (ページ9)

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続きたくないページ9

懐かしいな、初めて深澤先輩と話したのはあの体育館での試合の時だっけ。

今高校3年の私が、中学二年の時の話。
時が経つはやさを実感しちゃったな

また会えるかもね、なんて思わせぶりな返信には、
かわいい猫のスタンプで返して会話を終わらせておく。

勘違いや、浮かれたりはしちゃいけない。
中学の時に後悔をしたから。

だって、もう私も高校三年生だよ？
まぁ女子高に進学したし、
この数年で特に何か彼氏ができたわけでもないけど。
周りの友達の話を聞いていると何となくわかる、駆け引きの仕方。

あんまり、連絡はしない方がいいよなぁ。深澤先輩は大学生だし。
こんな高校生にちょっかい出されても困るよね。

そっとスタンプを送った後、私はアプリを落としてスマホを充電する。
そうだ、明日は学校から直接バイトに行かないといけないんだ。
支度しないと。

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私は駅に引っ越してきてからすぐに、家から少し離れた個人経営のドラッグストアでバイトを始めた。

学校帰りに駅の駐輪場に停めた自転車でバイト先まで向かってクローズまで働く。
週に2、3回しか入れないけど店長は優しいし、案外楽しいんだよね。

『お疲れ様ですー。』

店長「お、Aさんお疲れ様。今日は学校帰りなんだね」

『はい。今日はクローズまでですし、作業中心にやっちゃいますね』

店長「助かるよ、あと一時間後に渡辺君も来るからそれまではレジかバックでいいよ」

あ、渡辺君は今日18時からのシフトなのか。それまで学生いないし、暇だなぁ。

渡辺君は、このお店で同期の高校生バイト。
いつも眠いって言ってるんだけど、結構お客さんに連絡先聞かれたりしてるみたいでモテている。

まぁ、同期とか後輩使いは荒いんだけど。

渡辺「何？今日のシフトお前だけなの？学生は」

『あ、渡辺君。今日18時からだったんだね。なんか用事？』

渡辺「ちょっと二者面談入っててさ。すぐに終わらせてやったわ」

進路とかだるくね？と気怠そうにロッカールームに向かっている渡辺君。
いや、早く支度してくれないかなぁ。そろそろピークを迎えそうなんですけど。

渡辺「いらっしゃいませー」
『いらっしゃいませー』