惑わせる彼【紫】 (ページ3)

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思い出さないページ3

深澤先輩が中学を卒業してから、一切動いていなかったラインが息をし始めた。
アイコンはかわいいミニオンのぬいぐるみを撮った写真。
まさかまたやり取りを始めるなんてね。

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A『無事に着きましたか？』

深澤「おー、ただいま」

A『今日はありがとうございました！』

深澤「こっちこそ！いつもあの時間なの？学校帰りは」

A『バイトがなかったんですよ』

深澤「そっか。じゃあまた会えるかもね」

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『また会えるかも、ねぇ・・・』

中学生の時からそうだ。こっちが期待したくなっちゃうような言い方と素振り。

そう言えば、初めて会った時もこんないい方されたなぁ。

学校の先輩と後輩。
バスケ部と美術部。

始めて深澤先輩に会った時のことはよく覚えている。
たまたま友達に連れられて行ったバスケ部内の大会の会場の下駄箱で履き替えようとした時

はるな「ほら、A、早くしないと応援席埋まってるよ！」

『もう！待ってよ！』

いつもなら断るのに、私はたまたま友人のはるなに誘われた応援に足を運んだ。
まぁ、クラスメイトも試合に出るって意気込んでる部員の子多かったし、人気なんだなぁ

『ん？この上履き誰の？』

自分の上履きを置こうとしていた隣に、一学年上の赤色の、履き潰された上履きが乱雑に置かれている。
名前が書いてあるけど・・・・正直文字が汚い。

『ふ、深・・・・・・・』

なんか気になってしまって、その名前を解読しようとした。

深澤「ふ、か、ざ、わ。俺、深澤っていうの」