惑わせる彼【紫】 (ページ2)

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深澤先輩と再会してたったの五分。

再会駅から30分ほどで到着する自宅まで、送っていくと言ってきかないので
なぜか今彼と二人で歩いている。

深澤「なんか、地元から離れたとこでAと会えるとはなぁ～」

『私だって驚いてますよ！まさかあの大学に先輩が進学してるなんて。』

深澤「俺だってAがこんなにJKになってるなんて思ってねぇよ！ゎら」

しれっと車道側を歩いてくれる彼が、愛おしくてたまらなかった。
大学一年生になった彼は、髪色が少し明るくなっていて、私が知っている頃とは他人のよう。

『深澤先輩・・・髪染めたんですね！』

深澤「そう！やっぱAはわかる？俺似合いすぎてんだよぁ～。」

深澤先輩が中学を卒業してから会っていなかった、空白の三年間。
私は家に着くまでにできる限りの質問をした。

大学の話。バイトの話。高校の話。

途中から少し小馬鹿にしながら「えぇ～、俺の事大好きだねぇAは！」なんて言われるけど。(笑)

あっという間に私の住む一軒家に到着してしまった。

深澤「あ、ここがAの家？なんだよ、案外俺の住んでるところと近かったじゃん」

『そうなんですか？駅から遠いからここまで送らなくてもよかったのに・・・』

深澤「いーのいーの。俺が心配なんだから。」

じゃあね、と私の頭を軽くなでて、今来たであろう道を帰ろうとする彼の姿を見て
最後の質問を聞いた。

『あのっ・・・・深澤先輩。』

深澤「ん？？どーした」

『今、彼女いますか？』

求める回答があるわけではない。ただの好奇心。
彼女がいたら、こんな送ってもらうなんて申し訳ないしね。

深澤「居ないよ。ゎら」