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「…私…」
私は、綾瀬ミホに憧れた。
片割れでありながら、1人で綾瀬の一人娘名を背負う彼女に。
本当の家族に囲まれる彼女に。
ーーー記憶はなくとも、母親が死ぬまでにその温もりを感じられた事に。
そして…
「…っ楽しそうに、毎日毎日、笑ってるって…」
蓮見は、そう私に報告したんだ。
とても言いづらそうに、私を傷つけないように慎重に。
そんな蓮見に私は取り乱す事なんてできなかった。
"竜宮"の娘としても、彼の"主人"としても。
だけれどそれが、ずっとずっと妬ましかった、羨ましかった、
私も、そんな場所へ行きたいと思った。
「…ここにきて、幸せそうな綾瀬ミホが、羨ましかった…私だって、私だって笑いたかった…でも、でもーーー」
いつの日からか、笑うことが億劫になってた。
ううん。
"あの日"からずっと、いつもいつもいつもいつも。
思考の片隅には"恐怖"ばかり。
怖くて、怖くて前に進めない。
だからこそ、
「私にも、欲しかった…!こんなあったかい場所が、ここでなら安心して笑えるって場所が…っ!」
"ここ"が、私は一番羨ましい。
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あゆみ - ここまですごく面白かったので続きも楽しみにしてます!更新頑張って下さい\(*⌒0⌒)b♪ (2015年9月21日 17時) (レス) id: 5caf3af081 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2014年1月16日 19時) (レス) id: 92feccc4ca (このIDを非表示/違反報告)
謎の月(プロフ) - ニアさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!これからもお読み頂けると光栄です (2014年1月12日 22時) (レス) id: 3695c26c2a (このIDを非表示/違反報告)
謎の月(プロフ) - あゆさん» コメントありがとうございます!嬉しいです!もう更新するつもりはあまりなかったのですが、もう少し頑張ってみます! (2014年1月12日 22時) (レス) id: 3695c26c2a (このIDを非表示/違反報告)
ニア - 泣きました、笑いました。 最高です! (2013年12月30日 22時) (レス) id: 04fbca3b91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鵲 | 作成日時:2013年1月12日 23時