〈キングダム〉甘味処

李牧_一目惚れ3 ページ18

秦国からとうとう趙国へやってきた

お屋敷に着いたのは夜


中に入ってすぐ沢山の使用人に囲まれ歓迎を受けた


「A様」

「奥方様」

今までなら逆の立場なのでどうも落ち着かない



すると使用人達が一斉に廊下の壁に寄って
目の前に道が出来た

「A、よく来てくれましたね」

李牧が奥から歩いてくる



「皆さん、私がAを部屋まで
案内しますので戻って良いですよ」

ニコニコとこちらに歩み寄ってくる李牧



「貴女に会いたかったです」


耳元で囁かれ、体がびくりと反応する



「さあ、荷物は私が持ちますので貸してください」

荷物を持ち上げ何も無かったかのように
李牧はスタスタと歩き出す



「こちらの部屋が私たちの寝室ですよ。
　とりあえずここに荷物を置いておきますね」



部屋に着いて唖然とした



今までの比じゃないくらい広いという事

そして1番動揺したのが寝台が1つということ



「李牧様、これ、あの…」

赤面して言葉に詰まらせるA


「…私はAが嫌がる事は絶対にしませんよ」

ふふ、と笑う


「さあ今日はもう遅いのでAは湯浴みを…」



「り、李牧様、私、良いのでしょうか。
　こんなに素敵なお屋敷に呼んでいただけて、
　しかも李牧様が…あの…」

李牧が近づいてくる


「？私がどうしたのですか？」


「……李牧様が私に優しくしてくださるから
　私、勘違いしてしまいそうでっ…」


顔を赤らめて下を向きながら言った


「言ったでしょう。
　貴女を正式に妻としてここに迎えたいと。」


「それは秦趙同盟の為…ですよね…？」



「最初は舞い上がってしまって…
　でも冷静になったらなんの取り柄もない私のこと
　そんな風に思ってくれる訳ないって思って」


今にも泣き出しそうなAを
咄嗟に李牧は抱きしめた



「敵国だった官僚があの場で求婚するなんて
　そう思われるに決まってますよね。
　でも本当に、あの日貴女を一目見て
　好きになってしまったんですよ。」

李牧は抱きしめる力を強めた


「断じて国や政治の為ではありません。
　A、貴女が好きです。
　どうしたら信じてもらえますか？」


「…ずるい…」

Aは李牧の背中に腕を回し胸に顔を埋める


「……私も李牧様の事が好きです」


背伸びをして李牧の唇にちゅ、と口付けた


一瞬の出来事に目を丸くする李牧



「一生をかけて貴女を幸せにします」


どちらからともなく、再び唇が触れた

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