62-6 ページ8
…茗荷先先輩の言う通りだ！！アホのは組の助言なんていらないってことだよ！！
「そうですか。……分かりました。…でも！分からないことがあれば教えてください！
僕達、力になります！｣
「…っ！？」
僕の作業していた手を止めたのは団蔵の何気ない一言だった。
『…達？』
その一言は茗荷先先輩も気になったようで、団蔵に聞き返した。
「ね、佐吉」
さっきまで茗荷先先輩の方を向いていた団蔵が僕の方に振り返えそう言った。
「…な、なんで僕がっ！」
屈託のない団蔵のあほ面に思わずたじろいだ僕は反射的に冷たい一言を口にし、顔を背けてしまった。
『……』
しまった、と思った頃にはもう遅い。
あの一言はあくまで仕事に集中していた僕に突然話を振った団蔵へ送った言葉なのだ。
だからそこに団蔵への悪意はあっても茗荷先先輩への悪意なんてなくて…。
「いや…あの、…その。」
…なんたる失態。茗荷先先輩は怒るだろうか、それとも僕のことを嫌な奴だと怪訝な目で見るだろうか。
怖くて茗荷先先輩の顔が見れない。
「えっと、…佐吉？」
団蔵のやつが変に僕を心配するから余計空気が悪くなる。思わず団蔵を睨んだ。
…団蔵が、団蔵が突然、僕に話しを振るからっ…。
「おい。」
重い空気の中、ピリッとした声色が差し込んだ。思わず僕の背筋が伸びた。
声のした方を見ると潮江文次郎会計委員長が僕たちの方を厳しい眼で睨んでいた。
「団蔵。今は作業中だ。自分の持ち場を離れるとは何事だ。」
「…すっ！すみません！！」
「それにA」
『は！はい！！』
「分からないことがあるなら素直に聞け。作業効率が落ちる」
『わかりました。大変申し訳ございません』
潮江文次郎会計委員長に叱咤された団蔵は慌てて席に戻り、茗荷先先輩は落ち着いた様子で潮江文次郎会計委員長に頭を下げていた。
潮江文次郎会計委員長のおかげでとりあえずは変な空気から脱却することができた。…と、ホッとしたのも束の間。
『なぁ、任暁左吉。分からないところがあって、教えて貰えないか？』
茗荷先先輩が僕の目を見てハッキリとそう尋ねてきた。
「…えっ、あ…」
『……』
こんなまっすぐ尋ねてくるなんて…と動揺した僕を見て、何を思ったのか茗荷先先輩は諦めたかのように視線を下にずらした。
『すまない…、任暁左吉も忙しいよな。…うん、なんとかやってみ…』
「あの…っ、どこですか！？。」
あ、やば…。声が裏返った…。それに少し声が大きかったかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千代紙 - 昨日の夜にこの小説を見つけて寝るのも忘れて一気読みしました！！作者様のペースでの連載再開を待っています。 (5月4日 14時) (
レス) @page22 id: ab57022284 (このIDを非表示/違反報告)
おじい(プロフ) - 本日より連載が開始します。のびのびとやっていくつもりです。更新が遅いですがよろしくお願いします (5月19日 10時) (レス) id: f500028919 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 文力が豊富ですね。読んでいてつまらないと思った作品が一つもありません！助平（スケベ)な展開を良いし、5年生の絡みが最高です！別連載の方もみてきます。おじい（作者)さんの更新を全裸待機で待っときます！ (2023年1月30日 19時) (レス) @page8 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
まーく - 読んでいてとても満たされて、この様な小説を書いているお方は皆言語力が素晴らしいと改めて感じました✨別連載も頑張って下さい、！！戻ってくるのを楽しみにしてます(*´∀｀*)主様のペースでコレからも頑張って下さい！(上から目線っぽくてすいません💦) (2022年10月18日 22時) (レス) @page8 id: 18432ba634 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おじい | 作成日時：2022年9月26日 18時
