.03 ページ3
.
『 やっぱり傑くんだ! 久しぶり〜! 』
「 ……Aちゃん 」
およそ10年振りの再会だからか、どこか躊躇う.
そんな私とは裏腹に、当時と同じように昔と相変わらず無邪気な笑顔を向ける.
_私には、眩しすぎるくらいの.
『 傑くん、変わらないねぇ! 』
「 そうかい?
Aちゃんも、変わらないね 」
変わらない、
私のどこをみていっているのか.
君の知る、夏油傑はもう居ないというのに__.
『 あ、でも、傑くん. 髪伸びたね. 』
そんな、何気ない会話をしながら時計台下のベンチに腰を下ろす.
『 それにしても、本当に久しぶりだね. 何年ぶりだろう. 』
「 10年とか、そのくらいじゃないかな.」
10年はすごいや、と笑う彼女.
でも会えて嬉しい、と言葉を加える.
『 傑くんは、どうしてここに? 』
どうして、と聞かれても返答に迷う.
無意識にもこの場に来ていたからだ.
「 ……君との約束を思い出してね 」
たまたま買い物に来ていたとでも、嘘をつけばよかっただろうに、思考よりも先に言葉が口から放たれていた.
咄嗟に出た
嘘かどうかさえ、分からないというのに.
ああ. この子は、本当に無垢な子だ.
でも、おそらく忘れていたわけじゃない.
彼女との約束を忘れてれば、あのポスターを見ても何も思わなかったはずだ.
『 でもさ、1週間早いよ? 』
くすりと笑う彼女.
そう、花火大会は1週間後.
あの時も花火大会の1週間程前に、この時計台の近くで彼女と駄べっていた.
任務終わりに休憩を称して、日が暮れるまで話していたものだ.
その時、たまたまポスターを見かけた彼女が
『行こうよ』と言い出したのだ.
悟でもなく硝子でもなく、何故、私を誘ったのか.
その場に居合わせたからなのか.
その理由は知る由もない.
『 ねぇ、傑くん.
来週も、ここに来てくれる? 』
まっすぐな目を向けつつ、小さく首を傾げる彼女.
「 うん、もちろんだよ. 約束したからね 」
もっと、まともなことを言えただろうに.
どうして、そうしなかったのか.
嘘ついて、約束を破棄することだってできたというのに__.
.
199人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おはぎとだんご(プロフ) - すごく素敵な作品でした。ありがとうございます。これからも楽しみにしています、 (2021年2月15日 1時) (レス) id: 1cc5216453 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんの(プロフ) - 完結っ‥‥お‥‥おめでグスッおめでどぉ‥ございます"ッ‥‥‥‥うッグスッ‥‥‥‥推し様か"ッ‥‥っ!生き生きッッッッ‥‥してて"ッグスッ‥‥‥‥素晴らしか"ったでず‥‥ズビッおもしろかったです"!ありがと"うございましだ (2021年1月11日 9時) (レス) id: 588546bca4 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - 傑が生き生きしててとっても好きです!応援してます! (2021年1月5日 22時) (レス) id: 0939652fd8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まっちゃろん | 作成日時:2021年1月4日 20時