人生塞翁が虎〈捌〉 ページ10
太「そもそも変なのだよ敦君。経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい?大昔の農村じゃないんだ。いや、そもそも経営が傾いたんなら一人二人追放したところでどうにもならない。半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ」
敦「太宰さん、何を、云って……」
敦は、太宰の話が理解できないらしい
そこに、倉庫の窓から月光が射してきた
そして、敦は月光につられて大きく青白い満月をその眼に映してしまった
太「君が街に来たのが2週間前。虎が街に現れたのも2週間前」
ドクン、と音を立てて敦の躰が変化し始める
太「君が鶴見川べりにいたのが4日前、同じ場所で虎が目撃されたのも4日前」
敦「ガ…」ドクンドクン
太「国木田君が云っていただろう。『武装探偵社』は異能の力を持つ輩の寄り合いだと。世間には知られていないがこの世には異能の者が少なからずいる」
敦の躰は太宰が話している間にも変化し続けている
太「その力で成功する者もいれば――力を制御できず身を滅ぼす者もいる。大方、施設の人は虎の正体を知っていたが君には教えなかったのだろう。君だけが解っていなかったのだよ」
太宰は云いながら、ジリ…と後退して目の前の大きな黒い影と距離をとり、軽く戦闘態勢に入る
太「君も『異能の者』だ。現し身に飢獣を降ろす月下の能力者――」
虎「ギロッ…オオォオォォオ」
太宰が言った途端、敦が変身した姿であろう大きな白虎が太宰を睨み付け、大声で叫びながらバッと飛びかかった
だが、太宰は手を衣嚢に入れたまま軽く躱した
虎はスピードを落とせずに砂埃をあげながら壁に激突する
が、次の瞬間にはもう此方に向き直って雄叫びを上げながら再度太宰に突進する
今度は前足で攻撃をしてくるが、太宰はしゃがんで躱す
虎の爪はバキィと音を立てて太宰の背後の木箱を破壊する
太「こりゃ凄い力だ。人の首くらい簡単に圧し折れる」
太宰が躱しながら言うと、虎は間髪入れずに今度は上から襲いかかる
それを太宰は後方へ大きく飛んで躱す
勢いのまま後ろへズザザザザと滑ると、倉庫の壁にトンと足が当たった
太「おっと」
虎は好機だと思い距離を詰め、タンと床を蹴って跳び上がる
太宰に逃げ場はない、だが何処か余裕そうに見える
太「虎に喰い殺される最期というのも中々悪くはないが」
そう言って左手を虎へ向ける
太「君では私を殺せない」
左手の中指が虎の眉間へ触れる
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作者名:六等星 | 作成日時:2023年4月26日 6時