人生塞翁が虎〈陸〉 ページ8
太「まあまあ国木田君。君がやると情報収集が尋問になる。いつも社長に云われているじゃないか」
太宰がそう云うと、国木田は不満そうにしながらも敦から手を離し、野次馬達を追い払う
立ち上がった国木田と入れ替わりに太宰は敦に近寄った
太「それで?」
敦「……………うちの孤児院はあの虎にぶっ壊されたんです。畑も荒らされ倉も吹き飛ばされて――死人こそ出なかったけど貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって。口減らしに追い出された」
そして、孤児院を追い出された時の記憶が頭に響く
《お前が―――――お前の所為だこの穀潰し―――――》
《何故です、僕は何も―――――》
《この院に穀潰しは要らぬ。否、天下の何所にもお前の居場所はありはせん―――――》
《この世の邪魔だ―――――皆の邪魔ゆえ疾く消えよ、消え失せるがいい》
敦「………………」
話し終えた敦は、黙って目の前に置かれた湯飲みを見つめる
太「そりゃ災難だったね」
国「それで小僧、『殺されかけた』と云うのは?」
敦「あの人食い虎―――――孤児院で畑の大根食ってりゃいいのにここまで僕を追いかけてきたんだ!」
鶴見川のあたりをふらふらしていた時―――――
僕は歩き回って疲れていた
その日も寝る場所を探して、ちょうど橋の下まで辿り着いた
そしたら捨てられている鏡があって、それをのぞき込んだら
………………………………僕の背後に、あいつがいた
敦「あいつ僕を追って街まで降りてきたんだ!空腹で頭は朦朧とするしどこをどう逃げたのか」
太「それ、いつの話?」
敦の話を聞いていた太宰は、真剣な面持ちで尋ねる
敦「院を出たのが2週間前、川であいつを見たのが―――――4日前」
国「確かに。2週間前から虎の被害はこっちに集中している。それに4日前に鶴見川で虎の目撃証言もある」
国木田が手帳をめくって敦の話を確かめた
それを聞いて太宰は手を口に当てて考え、敦に向かって笑顔で云った
太「敦君これから暇?」
敦「ゾッ………………猛烈に嫌な予感がするのですが」
太「君が『人食い虎』に狙われてるなら好都合だよね。虎探しを手伝ってくれないかな」
敦「ガタッい、いい嫌ですよ!それってつまり『餌』じゃないですか!誰がそんな」
太宰の提案に、青い顔をして全力で拒否していた敦だが、太宰の次の一言で目の色が変わった
太「報酬出るよ」
敦「報酬…」
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作者名:六等星 | 作成日時:2023年4月26日 6時