【文スト】マフィアの黒姫 (ページ4)

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人生塞翁が虎〈弐〉ページ4

敦「げほ…げほっけほっ…」

敦は咳き込みながら、川から引き上げた男性を見る

高身長、茶色の蓬髪で容姿端麗という言葉がよく似合う人だ

？「………」ぱちっサッ

敦「うおっ」

男性は目を開けたかと思うと、いきなり起き上がった

余りの突然さに敦はギョッとしてしまう

敦「ああんた川に流されてて…………大丈夫？」

敦が心配して声を掛けている間、男性は何も云わずにあたりをキョロキョロと見回す

？「―――――助かったか………………………………ちぇっ」

敦「(『ちえっ』つったかこの人!?)」

男性は敦に向き直り、尋ねる

？「君かい、私の入水を邪魔したのは」

敦「邪魔なんて僕はただ助けようと―――――入水？」

？「知らんかね入水、つまり自'殺だよ」

敦「は？」

男性が余りにも当たり前のことのように云う為、敦は間の抜けた声を出してしまった

？「私は自'殺しようとしていたのだそれを君が余計なことを―――――ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」

男性はヤレヤレと頭を抱える

敦「は…………はあ(あれ？僕いま怒られてる？)」

？「まあ―――――」

そう言って男性は立ち上がる

？「他人に迷惑をかけない清くクリーンな自'殺が私の信条だ。だのに君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度何かお詫びを―――――」

ぐうぅぅぅ

敦は自身の腹に手を当て、二人は目を合わせたまま固まる

？「………………ｸｽ空腹かい少年？」

敦「じ実はここ数日、先程通りかかった女性に頂いた小さなパン以外何も食べてなくて………………」

ぐうぅぅぅ

？「私もだ。ちなみに財布も流された」

敦「ええ？助けたお礼にご馳走っていう流れだと思ったのに」

？「？」

敦「『？』じゃねぇ！」

少年は男性の言葉に落胆したが、当の本人は全く分かっていないらしく、小首をかしげている

そんなやりとりをしていると、川の向こう岸から声が聞こえてきた

？？「おぉーい」