君を振り向かせるのは５【HQ】

▽ ページ36

黒尾side


もう、何？


なんなの！？


あぁ、失敗した


赤葦も応援団とか聞いてないし


つーか、普通にAに電話してくるんだアイツ


電話から漏れてた声が少し聞こえたけど


俺が思っていた以上にアピールしてたんだけど


え、なんか前と違くない？



――俺はAさんが好きです



あの時の赤葦の言葉が再び頭を回る






「クロ、帰らないの？」



部活が終わった後、部室のロッカーに向かってため息を吐けば、既に鞄を持った研磨が俺を見ていて



「落ち込んでんの」
「ふーん」



する気力も起きないネクタイを鞄に押し込んでロッカーを閉めた

「なぁ、研磨。Aと赤葦って付き合ってると思う？」
「さぁ？」
「まぁわかんねぇよな」
「気になるなら聞いてみれば？」
「聞けるわけないでしょ！」
「はぁ……まぁでももし二人が付き合ったら赤葦が言ってくると思わない？特にクロには」
「……確かに」



研磨の言う通りもし二人が付き合ったとなれば、赤葦からしたら俺の存在は危険なわけで


何か一言言われてもおかしくない



「まぁ付き合ってなくてもうかうかしてると付き合うかもしれないけど」
「う……」



鋭いところを突いてくる研磨の言葉は見事グサリと俺に刺さって



「ほら行こう。A待ってるし」
「研磨、慰めるって言葉知ってる？」
「面倒臭い」



さっさと歩き出す研磨に、最後部室を見渡して電気を消すと部屋を出た




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