妹が好きで何が悪い２【プリレジェ】

ep14 嵯峨沢ハル ページ8

学校帰り、今日は奏さんも用事があるとのことで私は一人あるところに来ていた

お洒落な白い外装に緑が植えられていて、ガラス越しに見える店内もとてもお洒落だ

私みたいな高校生が来るようなところじゃないけれど

やけに重く感じたそのガラス戸を開ければ「いらっしゃいませ」と声が響く


『すいません、予約していた京極なんですが……』
「A！？」


その声に顔を上げれば驚いていたハルさんがいた

そう、今日は彼のお店、美容室に来たのだ


「え、マジか。マジで来てくれたのか！」
『え、あ、はい』
「つか、予約してたの気付かなかったんだけど」
『あ、苗字変わったからかな』
「あーそっかそっかぁ。ってか俺に言ってくれればよかったのに」
『いやぁ、ハルさん忙しいかなぁと思って』
「そんなことねぇし」


と言って笑うハルさんが実際忙しいのはわかってる


「ハルさんの知り合いっスか？」
「そうそう。俺が落とそうとしてる子」
『ちょ、ハルさん！』
「ハハ、まぁいいじゃん。本当のことだし」
「今日カットで予約されてるんですけど、俺――」
「あー駄目。この子はカウンセリングから全部俺がやるから」
「え、でもハルさんご指名のお客様が……」
「A。今日時間ある？」
『え？まぁ、ありますけど……』


そう言うとパンッと両手を目の前で合わせたハルさん


「悪い！本当に悪いんだけど、俺の予約が終わるまで待っててくんない？」
『え、』
「Aの髪、全部俺がやりたい。他の奴には絶対触られたくねぇし」


私の髪に触れたハルさんは今どれだけ恥ずかしいことを言っているのかわかっているのだろうか

ハルさんのそういう言葉には慣れたと言ってもやっぱり恥ずかしくなってしまう


「どこかカフェで時間潰しててもいいし、勿論ここで時間潰しててもいい。だから俺にやらせてくれない？お願い」


あぁ、ハルさんは本当にズルい人だ

そうやって世の女子たちのハートを盗んでいるんだ


『いいですよ。ハルさんには送ってもらったりお世話になってるから』
「マジで！？ありがとうA！」
『いやいやお礼言われるとか意味わかんないですよ』
「どうする？ここで待ってる？」
『はい。そうさせてもらいます』


そう言えばくしゃりと撫でられた頭に


「今珈琲入れるからそこに座って待ってて」


柔らかく笑ったハルさんは去って行った

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