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「大ちゃんのこと襲わなかったー?」



片耳から甘ったるい声が聞こえてくる。
スマートフォンを持った手は震え、今にも落としてしまいそうだ。


11月の早朝は、かなり寒い。




『…用はそれだけ?もう切るね、さようなら』



私はというと、絶賛有岡くんの家に訪問中。
彼の家のベランダで、慧くんの電話を取っているところだ。





「え〜、せっかくAちゃんの恋愛相談に乗ってあげようとおもったのにー。」

『猛烈に寒いのよ。ていうか慧くん仕事で忙しいんじゃなかったの?』

「いーのいーの、今日オフだから。Aのことが最優先。」


昨日早朝から仕事あるからとか言ってた気がするんだけど…
本当に適当な男だ。

まだ1分も経たないけれど、頭の中はどうやって電話を切るかでいっぱいだった。





「好きなんでしょ?大ちゃんのこと。」



鼻にかかるような声。
電話越しでも彼がにやにやと笑っているのが想像出来る。



『冗談でしょ。私が今更誰かを好きになれると思う?』

「俺は今更とか関係ないと思うけどね。」




予想外に真面目な声。
痛いところをつかれたような気がして、言い返す言葉を探す。
けど、何にも見つからなかった。



「好きなんでしょ?」

『…本気になんて死んでもならないから。』

「────Aちゃん?」





私の答えに間を開けず、後方からガチャりとドアの開いた音と柔らかい声。
振り返ると、眠そうに目を擦る彼がいた。



『ごめん!切るね!』



ちょ、まってよ〜とかなんとか、電話口から聞こえた気もしたけれど、構わず受話器ボタンをおして有岡くんの方に体ごと向けた。


寝癖だっている髪の毛に手を当てて、こちらを伺うような顔をした彼に、小さく胸が鳴る。




────好きなんでしょ?大ちゃんのこと



さっきの慧くんの声が脳内で響く。
私はブンブンと首を振り、その声をかき消した。

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himawari(プロフ) - 有岡担さん» 1年越しのレス失礼致します。ありがとうございます!とても嬉しいです!まだHey! Say! JUMP好きですか?良かったらまた見てくださいね! (2021年11月2日 23時) (レス) id: bbb7ea1a79 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - はじめまして!あの、このお話を見たときにもう最高かと思いました!続きも待ってます。 (2020年7月31日 16時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - マリナさん» マリナさん、コメントありがとうございます!頑張ってかきたいと思います! (2019年1月31日 19時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)
マリナ(プロフ) - 初めまして!一気に世界観にハマってしまって主人公ちゃんの幸せの続きが気になりました!更新待ってます! (2019年1月30日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - maimaiさん» ありがとうございます!普段は読まないのに、読んで下さってるっていうのは本当に嬉しいです!!つい更新してしまいました...! (2019年1月21日 8時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:himawari | 作成日時:2018年8月25日 21時

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