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いつもより重い瞼を開けるとそこには見慣れない天井。
カーテンの隙間から零れた光に照らされる彼の顔をみて、やっと有岡くんの家にいることを思い出した。



まるで子供みたいな顔で、すーすーと寝息を立てる彼をみて思わず笑う。

瞬間パチリと目を開けた彼は、コンマ数秒訝しげな顔をして目を擦った。



「おはようございます、有岡くん」
「あー…おはよ。」


なんかテンション低くない?
なんか、嫌そうな顔してない?

ってなんで私、有岡くんの態度なんか気にしてるんだよ。

「ぶふっ」
「な、何笑ってるんですか。私なんか変ですか?!」

急に吹き出した彼は、そのあともクスクスと笑い続ける。
目じりに集まる皺はしばらく消えない。


「いやさ、なんか素直になりました?Aさん。」
「何にも変わってないです。」
「そっか、そっかぁ。」
「なんですその、おちょくるような顔は!」

彼はその問いには答えずに、”ちょっと待っててね”と言って寝室を出ていった。
肩が震わせながら歩く彼は、どうやらまだ笑っているようだ。



1人取り残されたベッドからは、微かに彼の匂いがした。
昨日の今日で、有岡くんに気を許している自分がいる。

こんなに単純だなんて思っていなかったのに。


そんなことを考えていたら、ガチャりとドアが開いた。


「え、なんで!」

そこにはもちろん有岡くんがいた。
無論私が驚いたのはそこではない。

「それ、私のバック!」
「全く。家の鍵とか入ってるバッグ置き去りにしてそのまんまとか、危ないにきまってるでしょ。」

呆れた顔をして、彼は頭を掻いた。


「昨日からうちにありました。騙されたね、Aさん。」

ポンと頭に彼の手が降ってくる。
その瞬間ひんやりとした感覚が訪れた。

「冷た!」
「目腫れてますよ。これで冷やしておきな。」


余裕そうな笑みになんだか納得いかなくて、目線を逸らす。
有岡くんが私の顔を覗こうとするから、保冷剤で目を覆うように隠した。

「普通、そんな優しくされたら好きになりますよ。タラシ。」

「Aさんも俺の事好きになってくれたら楽なんだけどね。」

「扱いやすいからってことですか。」

「そうそう。よく分かりましたぁーうぉ!!」


子供みたいな扱いをされたのに腹が立ったので、彼の首に保冷剤を当ててやった。

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himawari(プロフ) - 有岡担さん» 1年越しのレス失礼致します。ありがとうございます!とても嬉しいです!まだHey! Say! JUMP好きですか?良かったらまた見てくださいね! (2021年11月2日 23時) (レス) id: bbb7ea1a79 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - はじめまして!あの、このお話を見たときにもう最高かと思いました!続きも待ってます。 (2020年7月31日 16時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - マリナさん» マリナさん、コメントありがとうございます!頑張ってかきたいと思います! (2019年1月31日 19時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)
マリナ(プロフ) - 初めまして!一気に世界観にハマってしまって主人公ちゃんの幸せの続きが気になりました!更新待ってます! (2019年1月30日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - maimaiさん» ありがとうございます!普段は読まないのに、読んで下さってるっていうのは本当に嬉しいです!!つい更新してしまいました...! (2019年1月21日 8時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:himawari | 作成日時:2018年8月25日 21時

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