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メモを読みながら、とても美味しいわね、このチョコと滑らかに真緒は言った。
アリシア「じゃあ、私はそろそろ寝るわね。真緒、頑張って」
ありがとう、お休みなさいと言って真緒は見送る。
アリシアが去ると、真緒はなるほどね、と心の中で呟いた。
誰彼構わずデートというのは気が乗らないが、十二神将達にそれっぽい演技をしてもらうのは面白い、と真緒は思わず口角をあげた。
青龍の‘そういう’演技は、どんなものだろうか…と口許を緩めながら宿題を片付け、自室へと戻った。
深夜。
バッジはローブにつけたまま、真緒はトレーナーにパンツスタイルで天界へと姿を移した。
「青龍、六合、太裳」
流石に天空や、天一のいる朱雀、心を閉ざす騰蛇、父親のような白虎にまで頼むのは気が引けた真緒はその3人を呼んだ。
呼んでおいてなんだが、仏頂面の青龍と殆ど言葉を発しない六合に務まるのだろうかとふと思った。
「お願いがあるんだけどーー」
青龍『断る』
「まだ何も言ってないわ」
青龍『アリシア・スピネットのメモは読んだ』
「話が早いわね、青龍」
微笑む真緒と不機嫌な青龍に、事情を知らない六合と太裳は不思議そうな視線を送る。
「今盗聴器を付けられていて外すことが出来ないの。だから相手から外すよう言わせるか、聴く価値がないと思わせたいーーーで、てっとり早い話が、私と疑似恋愛してほしいのよ」
淡々と提案した真緒に驚きの色を隠しきれない青龍を除いた2人。
「具体的に言うと、恋人ごっこ。‘そういう行為’をしている振りをしてほしいの、簡単でしょう?」
どこが簡単なんだという顔で真緒を睨みつける青龍。
「この際、1人で充分だわ。遊び人というレッテルはいらないし、優秀な首席が裏では恋愛に溺れてるって思われたらそれで構わないから」
青龍『誰もそんなことは引き受けない』
「でも貴方達にしか頼めないわ、男子生徒に頼めば私、本当に襲われかねないもの」
尤もな言葉に3人が押し黙る。
「他に盗聴から逃れられる良い案があれば勿論採用するけどーー」
…なさそうだ。
真緒は小さく息を吐き、早速明日から誰かが引き受けてねと言って天界から姿を消した。
今やパンジーに腕を組まれても平然と受け入れているドラコに嫌な思いをさせたいと少なからず思っていた意地悪な自分や、悩みばかり尽きない現状で、久々に楽しみだった。
我ながらいい性格だ、と自嘲気味な笑みを浮かべて真緒は眠りについた。
72(終)
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はっさる(プロフ) - M.Sさん» はい!無理せずに頑張って下さい! (2019年9月17日 12時) (レス) id: 0296957bfe (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - はっさる様:ありがとうございます!そんな風に言って頂けるととても嬉しいです(^^)どんどん物語も後半に入っていきますが、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです! (2019年9月17日 12時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
はっさる(プロフ) - いきなりのコメント失礼します!毎回更新されるのが楽しみです!夢主の設定や物語の進め方がとても好きです!毎回更新を楽しみにさせてもらってます!これからもご自身のペースで更新頑張って下さい!番外編の更新も楽しみにしてます! (2019年9月14日 0時) (レス) id: 0296957bfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M.S | 作成日時:2019年8月23日 18時