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真緒「そのようね」
ドラコの全力の見栄に気付いているのかいないのか、彼女はにこやかに共感した。
ほっとしたドラコは、そうたろうっと強気に彼女をエスコートする。
*
ルシウス「ーーで、真緒は、一体どの寮に入りたいのかな」
「え、っと…」
ドラコの家系は皆、スリザリンだった。
そしてドラコ自身もそうなると思っているし、それが自分にとって誇りになるだろうとも思っていた。
その為、真緒の回答には少し驚いていた。
「私は、どの寮でも構わないです」
凛とした様子で答えた彼女に目を奪われていると、真緒の父が遊んでくるよう提案してきた。
いい加減、大人同士の話に飽きてきたドラコは、真緒の腕を引いて自室へと向かった。
「! 箒に乗ろうっ、僕の部屋にある!」
部屋に飾っている箒を顎で指し、これを使うんだと真緒に伝える。
すると彼女は少し困ったように口を開く。
真緒「ごめんなさい、私乗り方わからないかも」
(何だって!)
ドラコは驚いた。
たった2歳しか変わらないのにお姉さん感を醸し出す彼女に、こんな弱点があったとは…とドラコは少し勝ったような気持ちで申し出た。
「じゃあ、僕が教えてやろうっ」
真緒「ふふ、お願い」
説明をしてあげると彼女は大人しく聴いている。
その様子が何だか嬉しくてたまらなかった。
「じゃあ、乗ってみるぞ!真緒、外に出よう」
「うん」
外に向かう途中、何だか今日はご機嫌だね、と真緒が問いかけてきた。
「君の妹がいないからな」
わざとはぐれてドラコを無視したことや簪を取り合いになったことをドラコは完全に思い出していた。
真緒は少し苦笑しながら、二人揉めてたもんね、と控えめに呟いた。
真緒「あ、待って、ちょっと!」
ドラコが一足先に箒に乗ると、もたもたと真緒は箒で浮かぶ。
ほんの1mも浮いてないんじゃないたろうか、とドラコは少し呆れながら言った。
「おいおい、ふらふらじゃないか」
バランスを取ろうとしているのか、俯き加減に揺れる真緒の箒。
ドラコが見つめていると、案の定彼女はバランスを崩した。
「真緒っ!怪我はっ?」
焦ったドラコは慌てて駆け寄り傍へしゃがむ。
真緒「ったぁ…大丈夫、そんなに高いところに浮いてないから」
怖いのかと問うと、少しだけ、という返事。
このまま続けて良いのかと思案していると、ドラコの目を真っ直ぐ見つめ、
真緒「もう一度乗りたい」
そよ風に髪を揺らして、言った。
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作者名:M.S | 作成日時:2019年5月11日 16時