【うらたぬき】愛しい白薔薇【となりの坂田。】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,858 hit

・ページ2

あれから、１０年経った。

俺は20歳、弟は18歳、彼女は16歳。
全員、法律的に結婚できる歳になった。
俺と弟の元には、他国からの求婚届が殺到している。だが、俺と弟には必ず守ると約束した寵姫がいるから全ての話を断っている。

「……また断ったの？」

「…A」

白いシンプルなドレスを纏った寵姫がひょっこりと現れ、俺に問いかけた。

「当たり前だろ？俺にはAっていう大切なフィアンセがいるんだからさ」

腰を抱いて引き寄せ、彼女の口にキスを落とす。
んっ、とむず痒そうな声を出す彼女が可愛らしい。悪戯に舌を入れ口の中を荒らしてやれば、ずるりと崩れ落ちてしまう。
その華奢な身体を支え、立たせると顔を赤くした彼女がふいっと視線を逸らした。

「もう…馬鹿じゃないの、朝からこんなの…」

坂田起こしてくる、と言って俺から離れた彼女。
小走りで弟の方へ行ってしまった。

「…ったく、あんの箱入り娘……キスなんか昔からしてんのに……」

こんな調子じゃ、結婚しても子供が出来るまでに時間が掛かりそうだ。
でも、純粋な少女のままでいてほしいという気持ちもあるから、迷い所だ。

そんなことを考えながら、朝食を食べにダイニングルームへと向かっていった。