鬼龍紅郎の奮闘記 ページ7
Side.Kurou
『鬼龍先輩助けて下さいっ!包丁怖いですっ!』
「嬢ちゃん…女の子なんだから、自分で料理くらい出来るようにならねぇとよ…」
『怖いんですよ!』
包丁が怖いと嘆いている彼女。俺の後輩兼プロデューサー。
俺の好きな子でもある。
一人で包丁も握れない子。
一人で帰るのも怖がる子。
一人で洗濯もできない子。
結局料理も洗濯も俺が手伝ってるし、俺が家まで送っている。
それでも嫌でも面倒臭くもないのたから、俺は相当世話焼きでお節介な奴なんだろう。
「嬢ちゃん、ちょっと持ってみろ」
『こうですか!?』
「うわっ!?俺に向けるな殺す気か!包丁持ったらまな板の方に身体向けろ!」
『はい!』
「とりあえず包丁握っといて、俺が動かしてやるから、動き覚えろ」
嬢ちゃんの後ろから腕を回し、包丁を握っている手に自分の手を重ねる。握っていない手を猫の手にさせる。そのまま包丁で野菜を切り始める。
『あ、の…先輩…?』
「どうした、嬢ちゃん」
『この体制じゃないとダメですかね…?』
「え?」
よくよく考えてみると、俺が後ろから抱き締めているような体制だ。
「あ…わりい…」
『いえ!お、教えてもらってるので!』
平然としているが、耳まで真っ赤になっている。
期待しても良いのか、ダメなのか、わからねぇな。
せめて、世話させてくれよ。
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作者名:扇@crew | 作成日時:2019年3月25日 13時