【リオーネ・ミルドレット】5 ページ6
今日は曇って見辛いが、夜空には大小様々な星が星が並んでいた。近くにある丁度良さそうな切り株に腰を下ろし、ただただ黙って星空を見つめる。
死んだ人は星になると、以前フィーニスは言っていた。同じ“人”で、勇者である私も、星になれるのだろうか。それとも、勇者は人として認識されないのだろうか。人、とは私のようなのではなく、弱い、一般的な人間のことを指すのだろうか。
勇者として生きることは怖くない。
でも、人じゃなくなることは怖い。
『何があっても人でありたい』
それだけは、譲れない。
「考え事なんて、珍しいわね」
心を読まれているような感覚を覚えるくらい、いてほしい時にいてくれる大切な人。
時折見え隠れする月明かりによって青藍に輝く髪を風に靡かせながら、彼女も同じように星を見ていた。
改めて、綺麗だと感じる。人形の様に整っていて、美しい。私にはない何かを持っているような。
ふと視線に気付いたのか、緑の瞳が金色を映す。慌てて、話題を切り出そうとする。
こんな状況なのに、どこか不自然なくらい冷静だった。その冷静な頭では直感的に、彼女に相談したいこと、彼女にしか言えないことを、今言わないといけない気がした。
「最近さ、すごく嫌な感じがするんだ。ううん、嫌って訳じゃないんだけど、嫌な事が起こりそうな感じ。私はそれを楽しみにしてるんだけど、嫌な予感は消えないんだ」
瞳は尚も、揺らぐことなく私を映していた。言い終えたと判断したのか、長い睫が伏せられる。
口元には優しい笑みを浮かべて、静かに、宥めるように、言葉を紡いでいく。
「大丈夫よ。あなたは私が護るから。何があっても絶対に。だから心配しなくて大丈夫よ。村にも人がたくさんいるでしょう？それに魔物も、外から来る人もほとんどいない。だから、大…丈……」
「フィー？」
不自然に途切れた言葉に首を傾げると、彼女の顔はみるみる青くなっていく。暗いから、などという理由ではなく、確実に。
「違う、おかしい…おかしいのよ」
唇を震わせながら、ぶつぶつと呟く姿にさすがに疑問を抱く。フィーニスはこんな表情を、一度も見せたことがないからだ。
「…っ、リオーネ！ 今すぐ山を下りて町まで走って!!
…後ろは決して見ちゃ駄目よ。
あなたは勇者、世界を救う事の出来る唯一の存在。それだけは忘れないで、」
背を押され、訳もわからぬまま走り出した。
「…生きて」
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雪埜(プロフ) - 【更新】「魔女フィリア2」更新しました。3ヵ月もの間、たったこれだけの話の為に空けてしまい申し訳ありません。本編はもう少しさくっといくはずです。できれば、終わりまで見守ってくだされば幸いです (2016年6月29日 2時) (
レス) id: a49cc21bc2 (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「魔女フィリア1」更新しました。長らくお待たせしました。この章はあともう1〜2話程で終わりの予定なので、かなり短いです。その中でフィリアについてどれ程伝えられるかどうか。努力します (2016年3月29日 1時) (レス) id: 2e4e16571f (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「レエンカルナの姉妹4」更新しました。短いですがこの姉妹の話はこれで完結です。文字数の都合で詰め詰めな部分が多いですが、わからない部分は後々補填していくので待っていて下さると幸いです。次の話で序章も終わり、本編へと突入です。 (2016年2月2日 2時) (レス) id: 2e4e16571f (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「レエンカルナの姉妹3」更新しました。もうこの話も終盤、次の章が見えてきました。これだけ蒔いた伏線ですが回収しきれるかは微妙なところです。頑張ります。 (2016年1月11日 20時) (レス) id: 2e4e16571f (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「レエンカルナの姉妹2」更新しました。三月程経ちましたがようやく更新できました。もう少しで此方も終わりそうなのでお待ちくださると幸いです。設定は生えるもの。こんな予定なかった… (2015年11月30日 22時) (レス) id: fc245ecc04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しのみや | 作成日時：2014年12月31日 4時
