＊ ページ11
.
すっと、拳銃を俺に向ける彼の名は東條雪弥。
彼女の兄にあたる人物だ、この屋敷に出入りしていた時に何回か面識がある。
向けられた拳銃に対して反応した坂田が、突撃しようとしたのを見てそっと止めた。
「なんやうらさん！」
「ここは俺がやんねぇといけないんだよ。お前は出口確保して来い。」
「…ちゃんと救い出さなきゃ王子様失格やからな！！」
「お前、この期に及んでそれ言うか…？」
いたずらっ子のような笑みを浮かべながら、一瞬で雪さんの横を通り抜ける坂田。
その先に彼女の部屋があるのだが…まぁ、坂田はそれすらも通り抜けるだろう。
呆れたようにため息一つついて、まっすぐと雪さんの方を向く。
「君は今…そうか、最近噂に出てる4人組の組織…それはキミたちの事なんだね。」
「ふぅん、裏の世界の上層部にまで知られてるとは…光栄だな。」
「あぁ、だからこそますます…敵としては会いたくなかった。」
そういって、俺に向かって突撃してくる雪さん。
この家を継ぐものとして幼いころから彼は相当に戦い方を教え込まれていた。
俺らの…我流の戦い方とは違う、また別の戦いかた。
どれくらい戦い合っていただろうか、息も上がってきたときに雪さんは唐突に攻撃をやめた。
その顔に、優しい笑みを浮かべながら。
「強くなったね…うらたくん。君になら、妹を任せられる。」
「は…？」
「ごめん、ちょっと監視カメラを壊したくて一芝居打たせてもらったよ。」
指さした先にあったのは、俺のナイフや雪さんの銃でボロボロになった絵画の残骸があった。
それをそっと蹴っ飛ばすと、絵画には似合わないカメラとマイクが落っこちていた。
「妹を任せたようらたくん。」
「え、ちょっと待ってください…それって。」
「知ってるかい？茨は何も閉じ込めるためにあるものじゃないんだ。
君達がよく一緒に読んでいたおとぎ話を借りるなら、姫を守るために良い魔女は魔法をかけた。
悪い魔女によって永遠の眠りについてしまったお姫様を助けてくれる王子様がくるまで。
この城を茨で包んで、誰にも入れなくするように。」
「は、はぁ…」
「そして魔女は、王子様を見つけて彼がお姫様を助けてくれるのならば…その茨を消すんだよ。」
そう言って雪さんは、俺に突き付けていた拳銃を下ろした。
あぁ、彼女の味方はずっと守ってくれていたのは彼だったのだ。
「ありがとうございます…」
「妹を、頼んだよ。」
「はい！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
関西風しらすぅ@坂田家 - 坂田さんの絵本描いてる設定とかリアリティありすぎて好きです。幼いセンラさん天使すぎな。 (2019年6月16日 11時) (
レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
