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昨日のことがなぜかあまり思い出せないけれど、確かに回復はしているらしい。心なしかしゃんとした背筋としっかりと立った両足は、先日とはうってかわって自分の体重を支えてくれた。
全力社畜生活を今日も一日満喫した後、それなりに体に疲労を背負って歩く___と。
くらりとよろめいた。
甘い匂い。甘い、甘い匂い。
どこかで嗅いだことのある香り。
左右を見回して目に入ったカフェに、どこか引き寄せられるように入った。
カランコロンとカウベルが鳴る。
入った瞬間に濃くなる、深いチョコレイトのような蜂蜜のような。
カウンターの向こう側にある紫の瞳にざわりと心がざわめいた気がした。
恍恍惚惚と輝くアメジスト。
軽く目が細められ、艶やかな光は鋭さを増す。
「___いらっしゃい、アリスちゃん」
絡んで放さない、そんな声色でかけられた台詞。
まだ名前も知らない彼の口角が蠱惑的に、そして妖艶に、少し上がった。
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関西風しらすぅ@坂田家 - 坂田さんの絵本描いてる設定とかリアリティありすぎて好きです。幼いセンラさん天使すぎな。 (2019年6月16日 11時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
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