テイクアウト下心 ページ35
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目が覚めると、じんわり温もりが広がっていくような不思議な気持ちで満たされてた。
何かとびきりのプレゼントを貰ったような、とんでもなくいいことがあったような。
ぼんやりと天井を見つめて漸く、左手の温もりに気付く。
そうだ、昨日、Aと。
………あれ、付き合ったんだよね?俺、彼氏だよね?
…いやでも、好きだとは言ったけど、付き合おうとかそういうのは言ってないような気もする。
ていうか夢、じゃないよな。
いやいや、そんなことない、だって。
俺もAも寝相が悪くなくて良かった、と今日ばかりは心の底から思う。
気持ちを伝え合った後、渋るAを丸め込み、しっかり手を繋いで二人で眠りについた。
結ばれた指先はそのままだった。
ちゃんと二人の意思で絡み合った指をこの目で確かめてから、もう一度ぎゅっと強く握る。
うん、夢じゃない。
やっと、Aと付き合えたんだ。
すぐ近くにある見慣れた寝顔を見つめて、緩む口元が抑えられない。
早く起きて欲しい、けどまだこの夢の続きみたいなふわふわした曖昧な時間が、続いて欲しいような気もする。
はあ、と口から出たため息は体の内に溜めきれなかった幸せが溢れ出したからだった。
なんか、生きてて良かった。こんなことで、とか自分でも単純すぎると思うけど。
いや俺にとっては全然こんなことじゃないし、今の所の最重要案件だ。
「ん、あれ」
「おはよ」
「…ほくちゃん」
大体いつも俺より早く起きるAの、まだ意識が覚醒してないぽやぽやしてる姿を見られるのは珍しい。
瞼の重さに負けそうになったり頑張って開けようとしたり、戦う姿をあーかわいいすぎだろと思いながら暫く眺める。
やがて欲望のままにすーっと閉じられていく瞳にはちょっと我慢ならなくて、その柔らかそうな頬を摘んで、結局強制的に起こしてしまった。
「だーめ」
「んー、」
「おはよA、おぼえてる?」
「んん…?」
まだ働かない頭を頑張ってぐるぐる回してるであろうAは、幼く見えて可愛い。
昨日の事を思い出した時にどんな反応をするのか、想像してまたにやけてしまう。
そうこうしているうちに目の前の瞳がハッと何かを思い出した瞬間、真っ先に離れそうになった指先は予想の範囲内で、それより早くぎゅっと握り返すと観念したように大人しくなった。
代わりにこんな至近距離なのに顔を背けて、気まずそうな表情で目線を逸らされた。
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も。(プロフ) - usaさん» コメントありがとうございます!この一番もどかしい時間を楽しみながらのんびり進めていけたらと思います。更新ペースも早い方ではないですがまた覗いて頂けたらと思います(T_T)ありがとうございました! (2020年7月21日 13時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - 今回の更新もとっても面白かったです。早くほくちゃんとくっついて欲しいような、付かず離れずのもどかしい距離が楽しいような…!今後の展開も楽しみにしていますのでご自身のペースで無理せず更新がんばってくださいね。引き続き楽しみにしております! (2020年7月20日 22時) (レス) id: c80ccd6f24 (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 飴さん» ご意見ありがとうございます^ ^長文かつストーリーが遅いことは明記させて頂いており、また趣味かつ自己満足の作品ですので読んで頂くことを強制しておりません。合わないと思いましたら読むことを辞めて頂いて構いませんよ。お時間を割いて頂きありがとうございます。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
飴 - 何度も続けてのコメントですみません。 長々と失礼なコメントで失礼致しました。 それでは...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
飴 - またまた続けてのコメントですみません...。 そして台詞の行間隔あけたほうが良いと思い ました。 行間隔が詰まっていると読みにくいので...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も。 | 作成日時:2020年4月25日 23時