第三話 ３ ページ10
二人の様子をモンテが見に行くと言って、少し経った。
リビアンは声をかけてきた。
「ねぇ、ターフェ君？よね！
あの、基礎魔法のことでちょっと聞きたいんだけど…」
其処まで言って、言葉は切れた。
周りの温度が下がったのだ。
そしてその元凶はリビアンの前に出た。
「申し訳ないけど、ターフェは僕と彼女に教える予定があるんだ」
「え、そんなこと」
「してるよね？」
面倒なことにしそうなフィオを黙らせ、そそくさとその場から離れる。
「どうして嘘ついたんですか！」
嘘はよくないと文句を言うフィオを無視しているとターフェが代わりに答えた。
機嫌が悪いことを察したのだろう。
「あまりあいつらに馴れ馴れしく関わるな」
だが、納得しないフィオは食い下がる。
「どうしてですか？
クラスメイトですよ？」
その疑問にターフェが答えている間、Aは待つ。
こうして一人でいると、あの時を厭でも思い出す。
自身の大好きなあの人が、いなくなったあの日。
自分は常に遅れていた。
でも、愛されてはいた。
目を細めて空を眺めていると、話し終えたのかターフェが声をかけてきた。
フィオは一度寮へと向かったのかいなかった。
「話はついたのかい？」
そう聞けば、当然だと答えた。
ああ、やっぱり彼は天才だ。
「A、私が死んだあと、どうなった？」
唐突だった。
だが、気になる気持ちは良く分かる。
「世界のことは分かんないけどねぇ、ターフェの魔法陣を真似て記憶を引き継いで死んだよ。
生きる理由もないからねぇ。」
ふと、申し訳なさそうな表情をターフェが浮かべる。
らしくないなぁなんて思うが、同時に愛されてんなぁと優越感を感じた。
そのまま他愛もない話を続け、暗くなってきたころ、そろそろかと移動しようとしたら名前を呼ばれた。
振り向けば目の前にはいっぱいの赤であった。
それはターフェの瞳だ。
唇に触れたものでされていることは分かる。
何百年ぶりだろうか。
思わず涙が出そうになってしまった。
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作者名：紅華 | 作成日時：2022年4月7日 19時
