第?話 だって彼は私のもの ページ7
フィオの疑問にAは答える。
「愛されてるよ。
そうじゃないと、僕は今世に居ないだろうねぇ」
嘘吐きは笑った。
かつて自身の嘘に転がされた女を。
フィオは恐怖を感じただろう。
その目には列記とした殺意が込められていたのだから。
「ねぇ、フィオ。
君に良いこと教えてあげるよ。
フォリアを殺したのはね、ターフェなんかじゃ無いんだ。」
彼女は、面白そうに話す。
この雰囲気に他の者もそちらを見た。
伝説の一つが訂正されようとする、その瞬間を。
だが、フィオにAの悪意は強すぎた。
腰を抜かし、地面にへたり込む。
モンテがすかさず傍に寄った。
「フォリアはね、僕に踊らされたのさ。
でも、予想外だったなぁ。
ターフェから魔力を奪うだなんて。
おかげで僕が一人ぼっちになったよ?」
怨みの籠ったその言葉たちは、魔法を使っていなくとも人を呪えそうだと錯覚させる。
「でも、安心してねぇ?
今世は君が死ぬとターフェも死んじゃうから、守ってあげる。
あ、でも、余り近づきすぎたら……ね?」
その時の顔は口が裂けたかのように口角が上がっていた。
彼女は自分の利益を第一に考える。
それは、彼を愛しているからだろう。
そして、何よりも、嘘を吐くことがとても上手い。
話すこと全てが嘘だと言っても過言では無いほどだ。
「マスグラ…」
ターフェは真実かどうかを確かめる。
信じていない訳ではないが、確認は大切だ。
「だいジョーブですよ、マスター。
今はホントです。」
それを聞いて安心するのはターフェだけだろう。
その証拠にモンテは威嚇をし、アンは静かにAを睨んでいる。
ターフェはかなり狂った思考をする自身の妻の元へ歩いていく。
Aは「こわーいw」なんて馬鹿にしている。
「A、そこまでにしろ」
たった一言、ターフェが声をかける。
それだけで彼女は、その脅威さを隠しきる。
満面の笑みで彼を見る。
何処が好きなのか、それはお互いしかわからないのだろう。
「もうお話は良いのかい?
早く手当てをしないとだよぉ!!」
「これくらい…、いや、頼む」
下がった雰囲気を感じ取り了承するターフェ。
上機嫌になったAはターフェを連れて部屋を出て行った。
残された三人は息を吐く。
相変わらずの威圧感、そして狂気。
「彼奴も居んのに、大丈夫なのかよ」
モンテの心配は最もだ。
アンは首を振った。
「ターフェアイトがいる限り、言葉に気をつけておけば大丈夫でしょう」
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作者名:紅華 | 作成日時:2022年4月7日 19時