第二話 運命と因果と執着と ページ3
天使は問いかける。
孫娘の様子を見に行かないのかと。
男は答えた。
見て来たら良いと。
其の頃、彼らは街へと来ていた。
フィオは人種の様々な街の人々を眺めては、一つ疑問を零した。
「黒の髪の人はいないんだね…」
彼は彼女が伝説が好きなことを思い出し、確認する。
元気よく返事を返すフィオに、Aは言う。
「『伝説』なんて言われている黒の民がいたら大騒ぎだよ」
「そっか…。
そう、ですよね…」
何処か残念そうに答えたフィオに、今度はターフェが質問を投げかける。
「君はどうして時々敬語になるんだい？」
それにフィオがしどろもどろとし始めたとき、二人の男が声を荒げる。
彼らは、ターフェを狙っているようだ。
ターフェは流れるような知らんふりをした。
どことなく、Aの機嫌が低下する。
「無視すんじゃねぇー！！
その『変装』解いてやるぜ！」
男は武器を構えて、発射した。
「！！」
「！？おい！？」
狙われたターフェを庇う様にAが躍り出た。
土煙が消えていく。
其処に立っているのは、金髪の少女ではなかった。
「…おい、何故飛び出した」
ターフェが問いかける。
Aは答えた。
「だってぇ、君が怪我するところなんて、僕見たくないもぉん♪」
フィオは驚いた様子で少女を見る。
其処には、真っ黒な瞳に、紫の髪を持つ美しい少女が立っていた。
ターフェは眉を顰めて舌打ちを零す。
「アニキ！あの女、めちゃめちゃ珍しい奴じゃないっすか！」
小柄な男が声を上げた。
二人の手をとり、ターフェはまた逃げ始めた。
途中でフィオが手を離す。
そのまま説教を始めようとする様子に、呆れながらも止めようとするターフェだが、その間にまた男から発砲が行われる。
だが、それは何にも当たらずに消滅することとなる。
杖、黙示録を持つフィオ基、フィロ・フィオール・フォスフォールによって。
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作者名：紅華 | 作成日時：2022年4月7日 19時
