第三話 ４ ページ11
夜、情報屋の二人はとある三人の情報で儲けていた。
「やっぱり素直に情報屋に専念しておくべきだな！
人身売買は俺らにゃ難し…」
ホクホクとした様子で帰ろうとしたその時、恐ろしい声が聞こえる。
「やっぱり情報屋が本職だったか。
弱すぎると思った」
其処にはAとフィオを抱えたターフェが立っていた。
正に両手の花状態だが、片方はかなり不機嫌だ。
「金のなる木のお二人さん！」
「人を売った金で随分と、いい思いをしているようだな」
そそくさと逃げようとする二人だが、それを許すはずもない。
Aは魔力で壁を作り上げた。
逃げ道がないため、二人は話を聞かねばならなくなり、顔を青ざめさせる。
「ターフェに使われるんだから、光栄に思いなぁ？」
眉間にしわを寄せて頬を膨らませる。
ターフェはそんなAの眉間のしわを伸ばしてやりながら言葉を続ける。
「おい、雑草共。
いい思いをした対価を支払うべきだとは思わないか？」
「脅しはよくありませんよ」
「単なるビジネスだよぉ。
今は黙っときな」
ターフェに反論するフィオにすかさず黙るように促すA。
フィオに対する怨念はまだ拭えてはいない様だ。
「へ、へぇ…そうですね…」
苦笑いを浮かべながら言葉を返す情報屋に、ターフェは封筒を渡す。
「この中に数名の書類がある。
そいつらの情報を集めろ。
期日は明日までだ。
一つも集められなかった場合は即刻『死』と考えろ」
それだけを伝えるとターフェは他の二人を連れて姿を消した。
残ったのは情報屋のファントムだけであった。
学園へと戻った途端、フィオは文句を連ねる。
だが、それは簡単に聞き流され、逃げられてしまう。
「ターフェ！
私が杖を貸したのは…」
「はいはい。
『自衛』のため…だろ？
じゃあな、早く寮に戻れ」
別れた後にフィオは気付く。
Aが、ターフェと共に”ターフェの部屋へ”行ったことを。
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作者名：紅華 | 作成日時：2022年4月7日 19時
