【ユーリ!!!onICE】僕のそばに…【男主】 (ページ7)

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7話ページ7

「なんで、ヴィクトルが館内着きて寝てんの！？」

「ご飯食べたら寝ちゃって……」

『あ、ミナコさんいらっしゃい』

「え、Aくんが呼んだの！？」

　ミナコさんと勝生くんが言い争っていると、ヴィクトルが「Hungry……」と言って、むくりと起き上がった。

「なに、まだ食べるの？」

「えぇ？ヴィクトルは何が食べたい？」

「コーチとしては、勇利が好きなものが食べたいな」

　若干寝ぼけた声だけれど、その口ぶりは本当に勝生くんのコーチになったのだと確信付ける台詞だった。そういえば、勝生くんはチェレスティーノ先生のコーチを解約したって言ってたっけ。

『ミナコさん……』

「ん？」

『ここで、勝生君がヴィクトルにカツ丼って答えてしまったらどうなりますかね……』

「え？」

　多分、勝生君のお母さんにカツ丼と言ったんだろう。少し驚いた表情をした寛子さんだったけれど、嬉しそうな表情をした後、調理をしに行った。

　戻ってくると、お盆に乗っているカツ丼があたりいっぱいにいいにおいを振りまいている。ヴィクトルは、お盆に載せられたカツ丼を見て、「アメージング！！」と答えた。

「名物！カツ丼大盛です！！！」

　キラキラとした眼で綺麗に箸を使って一口サイズに切られたカツを頬張ると、目を開かせてこういった。

「フクースナ～！！！」

　おまけにこれは神の食べ物かという。どんだけ美味しかったのだろう。僕も、このカツ丼は好きだけれど、神の食べ物までとはいかない。……外国人だからって大げさなのかもしれないとは思ったのだが、美味しそうに食べるヴィクトルを見た寛子さんは、嬉しそうな表情をして調理場へと戻っていった。

「よかったね勇利、勇利は太りやすいから勝ったときしか食べさせてもらえなかったのよね～」

「う、うん」

「ふ～ん、勇利は最近このカツ丼は食べたのかい？」

「いえーす、いえーす、よく食べてます」

『あっ、勝生君……』

「え？」

　ヴィクトルは一瞬食べる手を止め、「なぜ？」と言った。そう、この会話に一つの矛盾が生まれているからだ。ミナコさんは、”勝った時にしか食べさせてもらえない”と言った。そこにヴィクトルは”最近このカツ丼はたべたのか”と聞いた。そこに勝生君は”よく食べている”と答える。明らかにおかしいのは僕でもわかった。気づいていないのは勝生君だけである。