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は？
いや、聞いてない聞いてない。
慌ただしく撮影の準備をするスタッフたちの邪魔をしないように、カメラの前でカメラマンと雑誌の編集者と流れを確認する彼を目にした時、私は戸惑いを隠せなかった。
そこに立つのは、最近何かと引っ張りだこの、あの松村北斗。
『嘘でしょ…』
彼のファンに陰湿な嫌がらせをされる未来しか見えない。ananの撮影って聞いて、インフルエンサーって自分のことを呼べるようなって初めての大きな仕事だって意気込んでたのに。
雑誌発売後の自分のSNSが荒れる未来が見える…。
『夢にまで出てきそう…』
「何がですか？」
頭を抱えていたら、声をかけられた。
それはテレビで聞いたことのある、
『あ、初めまして。Aといいます。今日はよろしくお願いします』
すぐに、仕事モードに切り替え、本日の主役である松村北斗に挨拶をする。
頭を軽くさげ、会釈をすると彼も同様に返してきた。
「初めまして。松村北斗です。本日はよろしくお願いします」
過激な特集をよくするananさん。今日もその一種で、私と松村北斗は肌の上にバスローブを着ている。
少しだけ胸元が見える。
結構鍛えてるんだな…。今日の撮影のためにも仕上げてきたんだろうな。
なんて思うが、私も今日のためにジムに通い、いい感じに仕上げている。
「お二人とも、カメラの前にスタンバイお願いします！」
スタッフが声をかけてきて、私たちは慌ててカメラの方へと向かう。
手汗が滲む。
自分は今日は主役じゃない。けれど、今まででいちばんの大きな仕事。
ラブホテルをモチーフにしたセットを目の前にし、少し体が強張る。
大丈夫かな、私。
実は男性経験皆無なのだ。
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作者名：Haylee :D | 作成日時：2023年2月3日 18時
