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夜中に外出することはあまりないからか、普通の住宅街の景観もちょっと刺激的だった。遮る雲がなく、昼間の熱気は全て宇宙に放出されたようで、夏なのに涼しい。いつもこうなら最高なのに。
「お母さん心配してないか」
「・・・まだ帰ってないみたい」
LINEを確認していないから、確証はないけれど。あの女はいつも帰らないか、帰ってきたとしても深夜にひょっこり帰ってきて、夜明け前には出掛けてしまうから、きっとそうだろう。
「・・・そっか」
思案げに目を細める西園寺。
・・・あまり、自分の家庭について口出しされたくない。同情されても困ってしまう。だから私は方向転換する為に話題の種を探したけれど、先に西園寺が口を開いた。
「お母さんにきちんと言わないとな、「私が数年後嫁に行く前にしっかり可愛がっておかないと、後悔するぞ」ってな」
「・・・その前に、相手が居ないんですけど、・・・・」
「お前はイイ女になれる。絶対！俺が保障する」
「また虫のいいこと言って・・・」
「信用ないな、まあ」
だって、根拠なく雰囲気で言っちゃう人でしょう？あなたは。
「・・・私、家此処なので」
「ん。じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい。あっ・・・ありがとうございましたっ！」
ひらひらと手を振りながら歩き出した西園寺の背に向かって、お辞儀をする。
そして完全に姿が見えなくなるのを見届けてから独りごつ。
相手が居ないんですけど、貴方がもらってくれませんか、なんて・・・
西園寺の性質の悪い冗談が移ったようだ。もしくは、夏休みが近いせいなのかも。
我ながら浅ましい。西園寺はそういうつもりじゃないのだろうに。
そもそもイイ女ってなんだろう。どうしたらなれるのだろうか。どんなに歳を重ねても、私は自分がそんな大層なものになれると思えない。
(褒められるのは嬉しいけど、絶対子供扱いしてからかわれている、嬉しいけど)
・・・この甘ったるい動機の理由は、慣れない世辞を頂戴したからだろう。それ以外考えられない。だってあの西園寺だ。ハンサムで何でも出来て面白くて時々紳士的・・・だ・け・ど！
私服が前衛的で芸術論も奇奇怪怪で巧言令色で自己愛主義者のとんでもない変質者。
そう、変質者。
あんな変質者に恋するなんて有得ない。絶対ない！
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茂木サカナ - そうですね。学園ハンサムは占ツクではまだまだマイナーなので、これから西園寺さんたちの活躍する話がどんどん増えてほしいです！ (2018年5月18日 20時) (
レス) id: 10d180f801 (このIDを非表示/違反報告)
ハニトン！（別垢）(プロフ) - これからもハンサムな小説が増え続けるといいですね！ (2018年4月21日 11時) (レス) id: baf5146a2f (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。励ましの言葉大変恐縮です。頑張ります (2018年2月28日 18時) (レス) id: 609f4ec12b (このIDを非表示/違反報告)
夏川なずな - コメント失礼します！とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張って (2018年2月27日 15時) (レス) id: ceafb5d2c9 (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。ご期待に沿えられるよう、ぼちぼち頑張りますので、気長にお付き合いくださいませ。 (2018年2月9日 19時) (レス) id: 6917fa2426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茂木サカナ | 作成日時：2018年1月1日 23時
